総説 | 577-587頁
石黒 浩毅,竹内 千仙,笠井 清登,久島 周
ゲノム医療が進展し,精神科医にも新たな対応が求められる.染色体異常では神経発達症に加えて精神病症状の発症リスクがあり,単一遺伝子疾患では身体症状を背景とした不安症など二次性精神疾患のリスクがある.一方,一般的な精神疾患は多因子疾患であり,精神科医には,ELSIを踏まえ,遺伝カウンセリングにおける心理社会的支援に寄与するとともに,多職種と連携して適切な支援を行うことが求められる.
特集 | 588-629頁
橋本 亮太,杉原 玄一,森田 健太郎,池田 匡志,松本 純弥,稲田 健
本特集では,「統合失調症 up to date―よりよい診断と治療を目指して―」というテーマのもと,「統合失調症 up to date―よりよい診断と治療を目指して:概要―」,「統合失調症の診断基準の現状と課題」,「統合失調症の補助診断法開発の現状と課題」,「臨床精神医学に活かすゲノム研究の成果:統合失調症に焦点を当てて―臨床精神医学とゲノム研究―」,「統合失調症の脳画像病態研究の現状と課題」,「統合失調症の治療の現状と課題」について論じる.
統合失調症の中心障害は,認知障害と自我障害とであり,この両者が「幻覚」と「妄想」の産出起源である.妄想気分と妄想着想とは,意識性の異常に類型されるべきである.急性期の消褪時期が,精神科医の個人精神療法の力量が最も試される病期であり,薬物療法では太刀打ちできない.
第121回学術総会を6月19~21日に神戸で開催した.「精神神経科学の充実・発展のために取り組むべきこと」をテーマとし,昭和100年の節目に,精神科医療を担う集団の拠り所として,本学会の今後の課題を取り上げた.加えて,阪神・淡路大震災発生30年を迎えた特別プログラムを行った.現地で参加の会員は5,000名を越え,充実した総会となった.
学術総会報告 | 639-643頁
Theresa Miskimen Rivera
アメリカ精神医学会(APA)会長として第121回日本精神神経学会学術総会に参加し,各国の精神医学が抱える共通課題や国際協力の重要性について意見を交わした.老年精神医学における協働ケアや若手精神科医の育成についても議論し,APAと日本精神神経学会の連携をさらに深める意義を強く実感した.