精神医学のフロンティア | 295-301頁
牧田 快,北田 亮,牧野 拓也,榊原 和,福岡 彩加,小坂 浩隆
本研究では,自閉スペクトラム症(ASD)を有する成人が,様々な柔性をもつ物体を触る際にどのような感情反応を示すかを検証した.実験の結果,ASD成人では,定型発達成人と比べて,物体の柔性増加に伴う心地よさの上昇が小さく,非定型的な触覚選好を示していた.さらに,この差は,人間の身体部位に近い柔性をもつ物体を含む範囲で観察された.
原著 | 302-317頁
齋藤 暢紀,宋 龍平,髙橋 峻平,藤原 雅樹,耕野 敏樹,稲垣 正俊
精神科救急を担う単科病院における単施設後ろ向きコホート研究により,入院中自殺企図についての記述と,入院時の自殺リスクアセスメントシートの項目と入院中自殺企図との関連の探索を行った.日本の精神科病院における院内自殺リスク低減策の立案に役立つ記述的成果と,今後一層注目し介入に反映すべき入院時の自殺リスク因子についての知見が得られた.
資料 | 318-328頁
根本 康,稲垣 中,中島 直,太田 順一郎
精神科臨床における2つのガイドラインの影響を把握するため,本学会所属の精神科医にアンケート調査を行った.調査から,措置入院の運用変化や退院後支援の浸透,支援のしやすさの向上などが示され,ガイドラインが現場に一定の影響を及ぼしていることが示唆された.
特集 | 329-363頁
丹羽 真一,倉持 泉,村本 好孝,浮ヶ谷幸代,加藤 伸輔
本特集では,「地域精神医療に真に役立つ「浦河べてるの家」の精神科クリニカル・パールの探究」というテーマのもと,「精神医学とべてるの家」,「ドイツ「Bethel」の取り組みから見た浦河「べてるの家」の実践と,本邦におけるこれからの課題」,「精神看護の視点からみた「浦河べてるの家」」,「「人として」出会い,ともに暮らす―当事者主体と専門家の脱施設化―」,「当事者と医師で考える精神医療の10のクリニカル・パール」について論じる.