Advertisement第123回日本精神神経学会学術総会

掲載論文ハイライト

精神医学のフロンティア | 767-776頁
永倉 暁人,河上 緒,木村 朴,池田 研二,大島 健一,窪田-坂下 美恵,加藤 忠史
双極症患者の死後脳では,対照群と比べてタウ病理である神経原線維変化や嗜銀顆粒病理が進行していた一方,アミロイドβ沈着に有意差は見られなかった.また視床室傍核に着目した解析では,約半数の症例でCHMP2B陽性の顆粒空胞変性を認めた.これらは遅発性例でより顕著であり,双極症の病態生理に神経変性や視床室傍核が関与する可能性がある.
原著 | 777-788頁
高橋 優輔,山岸 美香,中越 清子,里村 嘉弘,頓所 詩文,澤井 大和,金原 明子,森田 健太郎,柳下 祥,笠井 清登
精神科入院患者535名を対象に,小児期逆境体験(ACEs)を親子間の不適切養育などの「垂直ACEs」と,いじめなどの「水平ACEs」に分類して抑うつ症状との関連を検討した.うつ病患者では,垂直ACEsが精神運動抑制の相対的な低さと関連し,ACEsの質的な差異が症状プロファイルに反映される可能性が示された.
症例報告 | 789-794頁
西 将輝,菊山 裕貴,四本 由郁,髙田 恭輔,樽谷 精一郎,金沢 徹文,岡村 武彦
心因性発作やてんかんと診断されていた20歳代女性に対し,先天性疾患や知的障害,低身長などの特徴から遺伝学的精査を行い,22q11.2欠失症候群と診断した.副甲状腺機能低下症に伴う低Ca血症を認め,Ca補充療法により発作と幻聴が消失した.精神症状に身体的特徴を伴う症例では,遺伝性疾患の可能性を考慮することが重要である.
特集 | 795-838頁
山下 洋,上野 千穂,寺田 周平,堀 弘明,清野 仁美
本特集では,「周産期メンタルヘルスと小児期逆境体験」というテーマのもと,「小児期逆境体験と親子の絆形成の困難―ライフコース健康発達の視点から―」,「なぜ,若年で妊娠することになったのだろうか―小児期逆境体験から若年妊娠の背景と支援を考える―」,「小児期逆境体験が予定外妊娠に及ぼす影響」,「小児期逆境体験と神経生物学―心的外傷後ストレス障害との関連―」,「小児期逆境体験をもつ妊産婦への支援」について論じる.
精神科臨床では,症状や行動を,観察によって客観的に捉え「診断」する視点と,主観的な体験を「理解」する視点の,両者が求められる.しかし近年は,発達やトラウマの問題を抱える人が,環境の負荷によって精神症状を出現させる例を診る機会が増え,改めて,「反応性」と「理解」することが,より適切な治療や支援につながる場合が少なくないと考えるようになった.
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2026年10月
特集:『周産期メンタルヘルスと小児期逆境体験』
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