Advertisement第122回日本精神神経学会学術総会

掲載論文ハイライト

原著 | 477-486頁
菊池 章,日浦 悠斗,辻 利佳子,馬渕 有斗,若月 裕己,清野 友希,商 真哲,成島 直紀,羽岡 健史,寺尾 敦,石藏 勇基,末吉 利成
統合失調症入院患者98名の血清アルブミン値を対照群と比較し,精神症状(CGI-SCHスケール),社会適応度との関係を調べた.血清アルブミン値は,統合失調症患者群で有意に低下し,社会適応度,陰性症状,認知症状と有意な負の相関を示した.このアルブミン値の低下は,炎症性サイトカインが関与する神経炎症によって生じ,中核症状などの重症度と関連すると考えた.
精神鑑定において「犯行の機序」の説明が標準的に求められる.しかし,この「機序」という語が意味するものは必ずしも明確ではない.鑑定医のなかには神経科学的所見や心理検査所見に基づく「脳科学的機序」を提示することがある.こうした傾向は,Morse,S.J.が提起したBrain Overclaim Syndrome(BOS)―神経科学の所見に過大な法的含意を与える誤謬―に通じる危険を孕んでいる.
20~30歳代の父親300名を対象に,育児休暇期間と産後期抑うつ症状の関連を検討した.抑うつ症状陽性者は30.7%で,育休なし群に比べ,1~3か月未満群および3~6か月未満群でQIDS-J得点が有意に高かった.育児休暇の取得は必ずしも抑うつ症状の軽減に直結せず,取得を支える職場・家庭・社会的支援を含む多面的な支援の必要性が示唆された.
特集 | 508-531頁
江口 洋子,和氣 大成,寺田 由紀子
本特集では,「新時代を迎えた認知症のケアに向けて―ジェンダー観点からの検討―」というテーマのもと,「ジェンダーと経済的脆弱性の視点からの認知症治療選択とケア」,「アルツハイマー病発症前診断における女性pre-caregiverの倫理的課題」,「ダブルケアを担う更年期女性への健康支援」について論じる.
本稿では支持的精神療法,認知行動療法,精神分析的精神療法,マインドフルネス認知療法について,うつ病を中心とした最新の脳機能画像研究を概説する.脳内ネットワークモデルを用いた考察を交え,未解明な点が多い各療法の作用機序や,感情・反芻思考などの病態に関わる神経回路の機能変化を包括的に論じる.
精神医学奨励賞受賞講演 | 542-549頁
成田 瑞
本稿は,精神医学奨励賞受賞講演の内容を,講演を聴いていない読者にも伝わるよう論文形式で文章化することを目的とする.本稿は講演の構成に沿い,(1)交絡因子選択とDAG,(2)調整の原則,(3)時間依存性交絡下での従来手法の限界,(4)g-methodsの順に整理する.
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最新号

2026年7月
特集:『新時代を迎えた認知症のケアに向けて―ジェンダー観点からの検討―』
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