Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第126巻第1号

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総説
医学研究における利益相反(COI)の管理
飯田 香緒里
国立大学法人東京医科歯科大学統合イノベーション機構
精神神経学雑誌 126: 12-19, 2024
https://doi.org/10.57369/pnj.24-003

 近年,産業構造の変化やグローバル化などにより,イノベーションを取り巻く状況は大きく変化するなか,アカデミアは,科学技術の発展やイノベーション創出プロセスにおいて,主要なステークホルダーと位置づけられ,産学共創による取組がこれまで以上に期待されている.医療分野においても,バイオ医薬品をはじめとした創薬開発から,AI/IoT技術を用いた医療機器,医療サービスなど,新たなモダリティや技術を用いたイノベーション活動が推進されるなか,医療系アカデミアの基礎研究力から臨床研究力を最大限活用した産学連携の推進が図られている.その一方で,産学官連携活動を行うにあたっては,経済的利益が介在するため,当該利益の存在によって,研究で求められる公正かつ適正な判断が損なわれているのではないかとの懸念,すなわち利益相反(COI)による弊害の指摘が生じうる状況にある.利益相反管理は,研究者が実施する各種産学連携活動について,社会,患者,被験者からの疑念や誤解が生じないよう予防・回避するという意義はもちろん,最先端の研究の信頼性を確保するという要素を多分にもつ.また,昨今,組織間連携や,産学間のクロスアポイントメントの導入など,産学連携のあり方が大型化・多様化するなか,組織としての利益相反管理の要請も高まっている.本稿では,利益相反管理の目的と必要性を振り返りながら,医学研究において個々の研究者に求められる利益相反管理のあり方を述べるとともに,新たな要請についても紹介していく.

索引用語:COI, 研究倫理, 研究公正, 産学連携, イノベーション>
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