Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文全文

第124巻第8号

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原著
物質使用障害患者における初診3年後の断酒断薬予後―アルコール,違法薬物,処方薬市販薬の乱用物質別による断酒断薬継続期間への影響因の検討―
板橋 登子, 小林 桜児, 黒澤 文貴, 西村 康平
神奈川県立精神医療センター
精神神経学雑誌 124: 515-532, 2022
受理日:2022年4月13日

 【目的】物質使用障害において患者の主な乱用物質により生活背景や臨床像が異なると指摘されているが,治療予後を比較した報告はいまだ少ない.本研究では,依存症専門外来で実施した予後調査をもとに,断酒断薬継続期間と影響因について乱用物質で群分けをして比較検討を行った.【方法】2015年5月~2018年4月に神奈川県立精神医療センター依存症外来を初診し,初診3年後予後調査に回答が得られた397名(男性286名,女性111名,平均年齢44.2±11.9)の物質使用障害患者を対象とした.乱用物質によりアルコール群(n=223),違法薬物群(n=129),処方薬市販薬群(n=45)の3群に分け,3年間で最長の断酒断薬継続月数の中央値をKaplan-Meier法により推定し,log-rank検定による比較を行った.再飲酒再使用への影響因は初診時の基本属性および質問紙尺度得点,3年経過時の状況を説明変数としたCox比例ハザードモデルにより検証した.【結果】断酒断薬継続月数の中央値の推定値はアルコール群6ヵ月(95%CI 3.83~8.17),違法薬物群32ヵ月(95%CI算出不能),処方薬市販薬群12ヵ月(95%CI 9.39~14.61)で,違法薬物群が他の2群より有意に長かった.再飲酒再使用に関して,アルコール群は過去の依存症専門治療歴,通院期間,自助グループ参加期間が抑制因子,自殺関連行動がリスク因子であった.違法薬物群は男性,小児期の慢性身体疾患・いじめ・養育放棄の体験,初診以降に経済的自立を失う体験が,処方薬市販薬群は小児期の親との離別・家族の慢性身体疾患の体験,初診時の信頼感尺度の「不信」得点の高さ,自殺関連行動がそれぞれリスク因子であった.【考察】乱用物質の入手が比較的容易なアルコール群および処方薬市販薬群と違法薬物群とで断酒断薬継続期間が異なっていた.再飲酒再使用の影響因が3群でそれぞれ異なり,治療継続のための関係構築,自助グループへの動機付け,社会生活自立への支援,小児期逆境体験からくる不信感を緩和するかかわり,希死念慮への対応など,各群の治療課題が示唆された.

索引用語:物質使用障害, 依存症専門外来, 長期予後, 断酒断薬継続>

はじめに
 物質使用障害では,アルコールやその他の薬物の過剰な使用によって重大な問題を体験しているにもかかわらず,止めたくても自分で止められないコントロール障害が生じているため,従来の治療方針では断酒・断薬が重視されてきた.その治療方針はここ数年で転換期を迎え,2018年に刷新された『新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン』では,継続した断酒・断薬が最も安定的かつ安全な目標であるとしつつ,依存対象がアルコールや処方薬のようなケースで治療を開始してすぐに飲酒や薬物乱用を止めることができない場合には,治療の継続を重視して使用量低減も目標になりうると提唱している46).回復の指標について,今後はますます断酒率・断薬率にとどまらない多面的な検討の必要が高まると思われる.しかし,わが国では物質使用障害の専門医療機関が限られている現状から予後を追跡した実証的研究が少なく,回復の指標の1つである断酒・断薬継続についての資料も十分には得られていない.専門治療機関を受診した患者が断酒や断薬をどのくらいの期間継続しうるのか,酒や薬物に頼らない生活がどの程度困難であり,どのような支援が寄与して病状の安定につながるのかを長期予後調査から検討することで,治療経過の見通しを立て,より良い治療法の開発につながることも期待される.
 アルコール使用障害の予後に関しては,わが国では1970年代後半から,主に入院治療を受けた患者を対象とした追跡調査による断酒率の結果が報告されている.1970年代~1990年代に行われた研究をまとめた結果によると,入院治療後の断酒率は治療後2~3年で28~32%,5年前後で22~23%,8~10年で19~30%であり,退院後早期に多くが再発するものの,5年目以降はおおむね20~30%で安定する34).追跡の方法は,退院後1年間の飲酒行動に基準をおいて推移を追跡43),退院後1年以上経過した症例から死亡例と変化の著しい例を除いて飲酒状況を評価48),毎年1回予後調査を行い退院後から完全断酒していた月数を算出49),調査前1年間の飲酒状況を評価し退院年度ごとに比較52)などの方法がある.
 薬物使用障害の断薬予後に関する研究は少ないが,退院3年後の予後調査で調査時点から過去3ヵ月に乱用のなかった者の割合は45%であるという報告21),覚醒剤精神疾患患者の追跡調査において退院後3~8年経過した110名のうち56.4%が最近1年間に1度も覚醒剤を使用していないという報告など26)27)があり,アルコール使用障害に比して断薬予後は比較的良好と考察されている.医療機関以外では,国立精神・神経医療研究センターの「ダルク追っかけ調査」という調査研究プロジェクトにより,薬物依存症者の回復のために全国に作られたリハビリ施設であるダルク利用者を対象に実施した調査の結果,主たる依存物質が薬物である利用者の24ヵ月後断薬率が61.8%との報告で,過去の他の研究報告と比較してもダルク利用者の断薬率は高い水準にあると付記されている25)
 断酒・断薬に寄与もしくは連関する要因についてもさまざまな視点から検討されている.年齢が高いほうが断酒・断薬を継続しやすく,若年の予後が不良という指摘は多い15)48)52)53).治療への動機付けや病識があること35)48),通院治療の継続7)10)14)52),自助グループへの参加7)19)35)43),配偶者がいること35)52)53),犯罪歴や少年院入所歴や社会的逸脱行為がないこと40)48)52)などが断酒・断薬の継続と関連するという報告もある.就労が高い断酒・断薬率と関連するという報告もあるが35)40)49)52),一方で覚醒剤乱用が止まっている者に仕事が長続きしないなど社会適応がやや不良な群も含まれ社会適応状況との間に必ずしもよい相関がみられないという指摘や26),若年のアルコール使用障害患者では家族および社会的背景の要因と飲酒予後とに関連が見いだされなかったという研究結果もある15)
 アルコール使用障害と薬物使用障害では生活背景や治療継続性が異なり,それぞれの特性に応じた治療戦略が必要である22)37).薬物使用障害の主たる乱用薬物についてもいくつかの種類があり,2020年に実施された薬物関連精神疾患の実態調査によると,主たる薬物として最も多かったのは覚醒剤,次いで睡眠薬・抗不安薬,市販薬の順で31),医薬品の問題が占める割合が増加している.そして覚醒剤を中心とした違法薬物の使用障害と,処方薬や市販薬という医薬品の使用障害とでは異なる生活背景や心理社会的特徴をもつ4)24).主な乱用物質によって臨床像や治療的介入が異なると,断酒・断薬予後も異なることが予測されるが,乱用物質の違いによる予後の特徴を比較検討した研究は少ない.神奈川県立精神医療センター(以下,当院)依存症専門外来でわれわれは2015年5月より,初診患者を対象に重症度のスクリーニング,小児期逆境体験の有無,心理的特性を問う尺度からなる質問紙調査を開始し,小児期逆境体験の累積が不信感,被拒絶感,ストレス対処能力低下を媒介して物質使用障害の重症化に至るという仮説モデルの検証について,アルコール使用障害と薬物使用障害2群に分類して報告した20).この調査は引き続き実施され,回答が得られた者を対象に,2018年5月より初診後3年を経過した者から順に3年後予後調査を,2020年5月より5年後予後調査を開始した.本研究では,3年後予後調査の結果をもとにアルコール使用障害の断酒継続もしくは薬物使用障害の断薬(以下,断酒断薬)を継続した期間を比較し,影響因を検討した.今回は薬物使用障害患者の使用物質から,違法薬物である群と医薬品の処方薬または市販薬である群に二分し,アルコール使用障害,違法薬物の乱用を主訴とした薬物使用障害,処方薬または市販薬の乱用を主訴とした薬物使用障害の3群で比較検討を行った.物質使用障害のこれまでの予後調査は入院患者の退院後を起点としたものが多いが,外来初診患者の場合は入院を要する病状でも本人の意向で入院に至らない症例や,比較的軽症のうちに初診して入院を要さない状態が継続している症例もあることを考慮して,本研究では初診日を起点とした.断酒断薬期間については,断酒断薬と再使用とを繰り返す症例が少なくない現状から,3年の間で最も長く断酒断薬を継続した期間に着目した.

I.対象と方法
1.調査期間と対象者
 2015年5月~2018年4月に当院依存症専門外来を初診し,初診時の主診断が物質使用障害で,初診時調査および3年後予後調査の両方に同意し回答が得られた者を調査対象とした.2015年5月~2018年4月の初診患者1,467名のうち,調査依頼に対する同意能力および質問紙調査への回答能力を有するとみなされた1,027名に調査依頼を行い,初診時調査は821名の物質使用障害患者の回答が得られた.調査依頼の際に3年後および5年後に行う予後調査の説明を行い,予後調査にも同意の得られた711名を3年後予後調査の対象として,2018年5月~2021年4月の期間で,各対象者にとって初診から3年を経過した時期に調査を実施した.3年後予後調査の回答が得られ,断酒断薬期間が把握できた397名(男性286名,女性111名,平均年齢44.2±11.9)を本研究の最終的な分析対象とした.
 なお,調査場所の当院は首都圏にある県立の精神科専門医療機関であり,物質使用障害患者の治療は専門診療部の1つである依存症専門外来にて行われている.治療方針は,アルコール使用障害,薬物使用障害に共通して,必ずしも断酒断薬を絶対の治療目標に据えるわけではなく,患者本人に断酒断薬の意向がある場合にはその支援を行うが,断酒断薬を強く勧めると治療が中断するリスクが想定される場合には治療の継続性を優先するなど,物質使用障害の治療において近年注目されているハームリダクション11)の考えを重視している.ハームリダクションとは,1970年代から欧州でヘロインを中心とした薬物乱用によるHIV感染の蔓延を受けて企図された,薬物の使用において使用の中止や減量を目的とするのではなく「健康面,社会的側面,法律上の悪影響を最小限に抑えることを目的とした政策やプログラムの実践」である.手段としての注射器交換プログラムや物質置換プログラムなどについてはわが国でそのまま導入されているわけではないが,理念としての「ハームリダクションを意識した対応」50),「(断酒断薬ができなくても)彼らがいま困っていることに耳を傾けて否定をせず支援を継続する」こと39)などの形で依存症医療に浸透しつつある.当院では乱用物質の種類やその合法違法にかかわらず,物質使用障害患者が他者を十分に信頼して相談することが難しいことも考慮に入れて,本人にとって目下の希望が断酒や断薬でなかったとしても,物質乱用の結果生じている身体症状や精神症状や社会生活上の問題,そしてそのときの本人の困りごとや治療への希望も含めて治療で扱えるように,継続的な受診でそれらを話し合えるような関係性を築くことを念頭においている.

2.調査の方法と項目
1)初診時調査
 初診時調査回答者の基本属性として診療録から診断名と主な乱用物質,性別,初診時年齢,教育年数,物質使用の習慣化年齢,当院初診前の依存症専門治療歴の有無について情報を取得した.初診時の生活背景として同居家族および同居配偶者の有無,職業および経済的自立の有無,生活保護受給の有無に関する情報を取得した.
 初診時質問紙調査は既報の調査20)を継続して実施したため同一の構成であった.調査対象者には初診開始前に予診を担当するスタッフから調査依頼を行い,口頭および書面にて調査同意の得られた患者に自記式の質問紙調査を実施した.質問紙は,小児期逆境体験の有無,物質使用障害重症度スクリーニング尺度,心理特性を問う尺度から構成された.小児期逆境体験はACE(Adverse Childhood Experiences)Studyの質問紙9)を参考にして,長がアルコール使用障害患者の小児期逆境体験を調査するにあたり,依存症医療の専門医らによるエキスパートコンセンサスに基づき選定・追加を行った17項目8)を用いた.具体的には,慢性身体疾患,学業不振,いじめ,長期欠席,補導歴,養育者からの厳しいしつけ,過剰な期待,家族の慢性身体疾患,家族の精神疾患,家族の物質乱用,貧困,養育放棄,身体的虐待,心理的虐待,性的虐待,親との離別,同居家族の自殺の17項目に「はい」「いいえ」の2件法で回答を求め,それぞれの逆境項目に関する有無および累積逆境度数を算出した.物質使用障害重症度は主たる乱用物質がアルコールであった患者にはアルコール使用障害スクリーニングに用いるAUDIT(Alcohol Use Disorders Identification Test)16)を,その他の薬物であった者には薬物乱用・依存の重症度を測定するDAST(Drug Abuse Screening Test)-2045)をそれぞれ実施した.AUDITは10項目で構成され,合計点数は最小が0点,最大が40点で,12点以上が問題飲酒の,15点以上がアルコール依存症のカットオフポイントである17).DAST-20は20項目で構成され,最小が0点,最大が20点で,0点が「問題なし」,1~5点が「軽度」,6~10点が「中等度」,11~15点が「重大」,16~20点が「重度」と判定される32).心理特性については信頼感尺度1),被受容感・被拒絶感尺度47),首尾一貫感覚尺度(Sense of Coherence:SOC)3)54)を実施した.信頼感尺度は天貝により開発された対人的信頼感を多次元的に測定するための尺度であり,「自分への信頼」「他人への信頼」「不信」の3因子から構成される.本研究ではそのうちの「不信」に着目した.8項目4件法で各項目1~4点が与えられ,最小が8点,最大が32点で,高得点であるほど不信が強いとされる.基準値は尺度作成者の天貝が年齢段階および各項目の平均値と標準偏差を報告しており,8項目の尺度得点の平均と標準偏差を算出すると30代男性17.2±2.4,女性17.5±2.3,40代男性17.3±2.5,女性17.6±2.3である2).被受容感・被拒絶感尺度は「自分は他者に大切にされている」という被受容感,および「他者に疎まれている,ないがしろにされている」という被拒絶感を概念化したもので,本研究ではそのうち「被拒絶感」に着目した.8項目5件法で各項目1~5点が与えられ,最小が8点,最大が40点で,高得点であるほど被拒絶感が高いとされ,尺度作成の際に杉山・坂本が報告した平均値によると男性17.37±5.13,女性16.33±5.40である47).SOCとは,Antonovsky, A. が健康生成論の立場から提唱した,世のなかの一貫性安定性を信じてストレス対処できる感覚を尺度化したものであり3),本研究ではSOC邦訳版13項目7件法を用いた54).各項目1~7点が与えられ,最小が13点,最大が91点で,高得点であるほどストレス対処力が高く,心身が健全であることを示す.基準値は戸ヶ里らの報告によると59.0±12.2である51)
2)予後調査
 診療録で調査時点での当院での治療継続の有無と通院継続月数を調べ,通院継続中の者は受診日に,入院中の者は病棟でそれぞれ面接調査,中断・転医・終診による非通院継続者には電話調査にて,所要時間5~10分程度の聞き取りを実施した.電話調査は同意取得の際に聴取した電話番号に連絡を行った.ただし,事前に主治医が病状を考慮して調査中止を判断した27名,予後調査開始前に死亡が判明していた18名は予後調査を実施せず,予後不明とした.調査を実施して回答拒否があった者,電話不通であった者,1ヵ月の間に3回電話連絡を行い応答が得られなかった者の合計246名は調査不能につき予後不明とした.その他,家族や施設職員による代理回答が得られたが本人が死亡していた15名,本人が他院入院中,服役中,行方不明により3年間の経過や断酒断薬期間の把握ができなかった計10名も予後不明として分析対象から除外した.面接調査・電話調査とも共通の定式化された質問票を作成し,以下の項目について質問を行った.
 (i)同居家族の有無〔有の場合は同居家族の続柄(配偶者・親・子・その他),無の場合は独居か施設入所か〕
 (ii)職の有無〔有の場合は調査時現在の職の継続月数,無の場合は経済的基盤(家族の援助・生活保護・その他)〕
 (iii)調査時現在の依存物質乱用の有無(有の場合は乱用をしている期間と頻度,無の場合は乱用が止まっている期間)
 (iv)初診から3年間の嗜癖行動の有無(有の場合はどのような嗜癖行動か)
 (v)初診から3年間で最も長く断酒もしくは断薬を継続した月数
 (vi)調査時現在の他院への通院の有無(有の場合は科と病名),および初診から3年間の他院入院経験の有無(有の場合は入院の期間および回数,それぞれの入院の科と病名)
 (vii)初診から3年間の自助グループ参加経験(有の場合は参加月数,自助グループの種類,参加期間,参加頻度)
 (viii)初診から3年間の逮捕歴の有無(有の場合は罪状と服役経験の有無)
 (ix)初診から3年間の自殺関連行動(自傷行為もしくは自殺未遂)の有無
 これらの聞き取り項目から,断酒断薬に関する変数として断酒断薬継続月数と3年断酒断薬継続者数を算出した.治療経過として,当院通院継続月数,初診3年後現在当院治療継続の有無,当院通院自己中断の有無,自助グループ参加月数,自助グループ参加経験の有無,初診3年後現在自助グループ参加中かどうか,3年間の当院入院経験の有無および他院入院経験の有無について整理した.生活背景として,3年間で結婚,配偶者との離別,就職など経済的自立基盤の確立,失職など経済的自立基盤の喪失,自殺関連行動について,それぞれ体験の有無を整理した.
 断酒断薬継続月数は初診から予後調査実施時の3年間で,乱用物質がアルコールの場合は断酒,薬物の場合は断薬を最も長く継続していた月数とした.3年間継続的に乱用していた者の月数は0,3年間断酒断薬継続者の月数は36とした.ただし,3年の間に強制的に飲酒や再使用が不可能な状況におかれる服役期間があった場合はその期間を除いて最も長く断酒断薬を継続した月数とした.なお,依存物質に処方薬が含まれる者に関しては,診察で医師が処方した薬を処方通りに服用しており乱用をしていない場合は断酒断薬継続と見なした.
 初診日から予後調査実施日までの当院通院月数は,通院頻度を問わず,転医・終診の場合は最終受診日までの期間とした.次回予約を取得したがその後6ヵ月以上来院がなかった場合は自己中断とみなし,最終受診日までの期間とした.初診1回のみの来院であった場合は通院継続月数を0とした.初診から3年を経過した調査実施日に受診をした場合,もしくは当院に外来通院歴があり調査日に当院入院中であった場合は継続受診者とみなし通院月数を36とした.自助グループ参加月数については,通院頻度と通院期間を尋ね,通院頻度や参加頻度を問わず,特定の自助グループに継続して通ったと回答した期間を算出した.複数の自助グループに参加していた場合は,同時期に通い重複していた期間は除いて,それぞれのグループに参加していた月数を合計した.病院や施設から自助グループに通っていた場合も参加とみなした.オンラインの自助グループに参加していた場合も参加とみなした.生活上の変化については,同居家族の項目を聴取した際に,同居配偶者の有無について3年間で変化があった場合には,結婚,配偶者の喪失という体験を「有」とした.職の項目と経済的自立基盤の項目から経済的自立の有無について確認し,3年間で変化があった場合には,経済的自立の確立,経済的自立の喪失という体験を「有」とした.

3.分析の方法
1)アルコール群・違法薬物群・処方薬市販薬群の比較
 分析対象者の主診断と主な乱用物質から3群に分類した.アルコール使用障害と診断され,その他の薬物の乱用がなかった者をアルコール群,その他の薬物使用障害と診断された者のうち主な乱用物質が違法薬物もしくは違法薬物を含む多剤であった者を違法薬物群,主な乱用物質が処方薬もしくは市販薬およびその両方であり違法薬物を含まなかった者を処方薬市販薬群とした.なお,アルコールと薬物の両方の乱用がある場合は多剤依存症と診断されるため薬物群とみなし,乱用薬物に違法薬物を含む場合は違法薬物群,処方薬か市販薬のみで違法薬物を含まない場合は処方薬市販薬群に分類・合算した.予後判明者(分析対象)と予後不明者(分析対象から除外)の人数から,各群の予後判明率を算出しχ2検定で3群の比較を行った.各調査項目の記述統計量を算出し,カテゴリー変数についてはχ2検定を,連続変数についてはKruskal-Wallis検定を用いて3群の比較を行った.
2)3年間の断酒断薬継続期間の評価
 断酒断薬継続期間と影響因について生存分析を用いて評価した.生存分析とは,観察開始時から観察終了時までの期間における死亡や発症など特定のイベント発生までの時間を評価の対象とする分析である.もともと生死の判断に用いられる手法であるが,時間的要因を考慮すべき目的変数のイベントが「起こる・起こらない」という分類が可能なものであれば応用できる.本研究では,初診日を観察開始日,観察期間を3年,イベントを再飲酒もしくは薬物再使用(以下,再飲酒再使用),生存変数を断酒断薬継続月数,断酒断薬継続期間3年であった場合を打ち切りとして生存分析を実施した.
(1)3年断酒断薬継続率の群間比較
 アルコール群,違法薬物群,処方薬市販薬群についてKaplan-Meier法を用いて生存曲線を作成し,3年断酒断薬継続率(累積生存率),中央値および四分位点の推定値を算出した.中央値は各群において半数の対象者が再飲酒再使用に至るまでの期間,四分位点は25%の対象者および75%の対象者が再飲酒再使用に至るまでの期間である.3群の断酒断薬継続率の比較はlog-rank検定で行い,有意の場合はペアごとの対比較を行った.
(2)再飲酒再使用が起こるまでの期間に影響を与える要因の検討
 断酒断薬の継続が途切れ再飲酒再使用が起こるまでの期間に影響を与える要因を解析するために,Cox比例ハザードモデルの手法を用いて追跡期間3年間の平均的なハザード比(hazard ratio:HR)および95%信頼区間(confidence interval:CI)を算出した.HRは説明変数が増大した際に目的変数のイベントリスクの上がりやすさを示すものであり,1以上であればイベントリスクが生じやすい,1未満であれば生じにくいことを意味する.95%CIが1をはさまなければ5%水準で有意と判定される.まず,初診時調査と予後調査から得られた基本属性,質問紙の尺度得点,初診3年後の近況や経過に関する情報について,再飲酒再使用までの月数に対して,それぞれの変数が単独で及ぼす影響を評価するために,単変量のCox回帰分析を行った.Cox回帰分析では,「HRが時間によらず一定である」という仮定のもと,平均的なHRが1つのみ算出されるが,背景因子の違いにより生存期間が異なる分布を示す複数の群が存在する場合は,群によって時間への依存のしかたが異なりバイアスが働くためにその仮定が破綻する可能性がある.そのバイアスを除去するために,あらかじめ対象者を複数の層に分割してCox比例ハザードモデルにかけたうえで対象者全体のHRを評価可能なCox回帰層別モデルを適用するという対応方法がある.本研究においても,乱用物質の違いにより断酒断薬継続月数が異なる可能性を考慮して,単変量のCox回帰層別モデルを適用し,層(ストラータ)に主な依存物質(アルコール群,違法薬物群,処方薬市販薬群)を指定して各変数のハザード比を算出した.
 次に,アルコール群,違法薬物群,処方薬市販薬群で,それぞれどのような項目が断酒断薬期間に影響を及ぼすかという特徴を検討するために,複数の要因を評価可能な多変量Cox回帰モデルを3群別々に実行した.説明変数として,年齢,性別,教育年数,習慣化年齢,初診前の依存症治療歴,小児期逆境体験17項目それぞれの有無,依存症重症度スクリーニング尺度得点,不信尺度得点,SOC得点,被拒絶感尺度得点,3年間での結婚,配偶者との離別,経済的自立基盤の確立,経済的自立の喪失,自殺関連行動,当院通院月数,現職継続月数,自助グループ参加月数を投入した.説明変数の選択には,目的変数に最も強く関連している説明変数から順に投入される変数増加法(尤度比検定法)を用いた.選択された変数で作成された回帰式の有意性はモデルχ2検定で検討した.なお,17項目の小児期逆境体験の合計である累積度数,予後調査で聴取した項目と重複する初診時の同居配偶者,経済的自立,生活保護受給の人数,当院通院月数と重複する当院治療継続の有無および当院通院自己中断の有無,自助グループ参加月数と重複する自助グループ参加経験と初診3年後現在自助グループ参加の有無については多変量解析の説明変数からは除外した.また,当院入院,他院入院,逮捕,服役に関してはほとんどの場合において再飲酒再使用の結果として起こる事象であり,影響因として考えにくいため多変量解析の説明変数から除外した.
 統計ソフトはSPSS Statistics 26を使用し,有意水準は
P=0.05とした.

4.倫理的配慮
 本研究は,神奈川県立精神医療センターの倫理委員会の承認を経て実施された.対象者には初診日に初診時自記式調査と,電話もしくは面接にて行う長期予後調査について口頭と文書で説明を行い発表に関する同意を同意書への署名をもって得たうえで,個人情報の保護に配慮し調査研究を行った.

II.結果
1.アルコール群・違法薬物群・処方薬市販薬群の特徴
 予後調査対象者711名のうち予後が判明した最終的な分析対象は397名で,断酒断薬に関する全体の予後判明率は55.8%であった.依存物質別ではアルコール群369名中223名(予後判明率60.4%),違法薬物群264名中129名(予後判明率48.9%),処方薬市販薬群78名中45名(予後判明率57.7%)であった.χ2検定の結果3群の予後判明者の割合には統計的な有意差があり(χ2=8.47,df=2,P<0.05),残差分析の結果はアルコール群が有意に高く,違法薬物群が低かった.分析対象者のうち薬物使用障害の者について,違法薬物群の主診断は覚醒剤依存症が79名,大麻依存症が10名,危険ドラッグ依存症が2名,違法薬物を含む多剤依存症が38名であった.処方薬市販薬群の主診断は処方薬依存症が18名,市販薬依存症が6名,処方薬,市販薬,アルコールのうち複数を乱用していた多剤依存症が21名であった.
 初診時調査と予後調査における項目の記述統計量を表1に示した.断酒断薬継続月数は違法薬物群がアルコール群,処方薬市販薬群に比して有意に長く,3年断酒断薬継続者数の割合は違法薬物群で高かった.基本属性について,初診時年齢はアルコール群が他の2群に比して有意に高く,性別はアルコール群で男性の割合が,処方薬市販薬群で女性の割合がそれぞれ有意に高かった.教育年数は違法薬物群が他の2群に比して有意に短く,物質使用習慣化年齢は違法薬物群がアルコール群に比して早かった.当院初診前に依存症専門治療歴のあった者の割合は有意ではなかった.初診時に同居配偶者,経済的自立を有していた割合はいずれもアルコール群が高かった.生活保護受給の割合は違法薬物群が高かった.
 小児期逆境体験の項目は,親との離別,学業不振,補導,慢性身体疾患,養育放棄は違法薬物群において,家族の精神疾患は処方薬市販薬群において「あり」の割合が高かった.過期待と心理的虐待はアルコール群の「あり」の割合が低かった.長期欠席,いじめ,厳しいしつけ,家族の慢性身体疾患,貧困,同居家族の自殺,身体的虐待,性的虐待はいずれも有意ではなかった.小児期逆境体験累積度数は違法薬物群と処方薬市販薬群がアルコール群に比して有意に高かった.
 初診時に実施した質問紙法で,アルコール依存症のスクリーニングであるAUDIT得点はアルコール群のみ算出し,平均点は24.2±8.5であった.薬物乱用のスクリーニングであるDAST-20得点は違法薬物群と処方薬市販薬群のみ算出し,2群間に有意差はなかった.心理尺度は不信尺度得点と被拒絶感尺度得点が処方薬市販薬群と違法薬物群がアルコール群に比して有意に高く,ストレス対処力を示すSOC得点はアルコール群が違法薬物群と処方薬市販薬群に比して有意に高かった.
 3年後予後調査の結果を表2に示した.当院通院継続月数,自助グループ参加月数,現職継続月数についてはいずれも統計的有意差はなかった.予後調査実施時に自助グループ参加経験が1度でもあった割合,調査時現在参加中の割合,当院で治療継続中の割合,3年の間に当院通院を自己中断した割合はいずれも有意でなかった.3年の間に当院入院を経験した割合はアルコール群と処方薬市販薬群が,他院入院を経験した割合はアルコール群が高かった.3年の間に逮捕,服役を経験した割合,結婚を経験した割合,経済的自立を確立した割合は違法薬物群が高かった.配偶者と離別した割合,経済的自立の喪失を経験した割合にはいずれも統計的有意差はなかった.3年後予後調査時に初診時の職を継続していた割合はアルコール群が高かった.自傷行為や自殺未遂という自殺関連行動を起こした割合は処方薬市販薬群が高かった.

2.3年間の断酒断薬期間の評価
1)断酒断薬継続月数と断酒断薬継続率の比較
 横軸に断酒・断薬を開始してから再飲酒・再使用までの期間のうち3年間で最長の数値(生存期間),縦軸に断酒断薬継続率(累積生存率)を示した生存曲線をに示した.36ヵ月を経過した時点でのアルコール群の断酒継続率14.3%,中央値の推定値(以下,中央値)6ヵ月(95%CI 3.83~8.17),違法薬物群の断薬継続率46.5%,中央値32ヵ月(95%CI算出されず),処方薬市販薬群の断薬継続率20.0%,中央値12ヵ月(95%CI 9.39~14.61)であった.断酒断薬継続率が75%,50%,25%になる期間をそれぞれ群ごとに算出すると,アルコール群は1ヵ月で75%,6ヵ月で50%,24ヵ月で25%であった.違法薬物群は12ヵ月で75%,32ヵ月で50%,観察期間終了時の36ヵ月時点で25%以上であったため25パーセンタイル点は算出されなかった.処方薬市販薬群は2ヵ月で75%,12ヵ月で50%,32ヵ月で25%であった.log-rank検定の結果,3群の断酒断薬継続率は統計的に有意であった(χ2=51.65,df=2,P<0.01).ペアごとの対比較の結果,アルコール群と処方薬市販薬群がそれぞれ違法薬物群に比して有意に断酒断薬期間が短かった(アルコール群―違法薬物群:χ2=51.59,P<0.01,違法薬物群―処方薬市販薬群:χ2=14.41,P<0.01).アルコール群と処方薬市販薬群の間に有意差はなかった(χ2=1.54,P=0.215).
2)再飲酒再使用が起こるまでの時間に影響を与える要因の検討
 単変量のCox回帰層別モデルによるハザード比は表1表2に併記した.3群に共通してその変数単独で再飲酒再使用に関して有意であったのは,イベントリスクが高まる要因は経済的自立喪失(HR 1.535,95%CI 1.067~2.209,P<0.05),自殺関連行動(HR 1.518,95%CI 1.098~2.100,P<0.05),当院通院自己中断(HR 1.641,95%CI 1.284~2.096,P<0.01),逮捕経験(HR 2.320,95%CI 1.246~4.319,P<0.01),服役経験(HR 3.160,95%CI 1.323~7.547,P<0.05)であった.イベントリスクを抑制する要因としては初診時年齢の高さ(HR 0.987,95%CI 0.977~0.998,P<0.05),習慣化年齢の遅さ(HR 0.983,95%CI 0.969~0.998,P<0.05),自助グループ参加月数の長さ(HR 0.980,95%CI 0.970~0.990,P<0.01),3年後現在自助グループ参加中(HR 0.640,95%CI 0.466~0.881,P<0.01)が有意であった.
 アルコール群,違法薬物群,処方薬市販薬群でそれぞれ多変量のCox比例ハザードモデルを用いて分析した結果を表3に示した.アルコール群24名,違法薬物群14名,処方薬市販薬群3名において説明変数に欠損値があり除外されたため,Coxハザード分析に用いられたケース数はアルコール群199名,違法薬物群115名,処方薬市販薬群42名であった.アルコール群は初診前の依存症専門治療歴があったこと(HR 0.675,95%CI 0.496~0.917,P<0.05),自助グループ参加月数(HR 0.974,95%CI 0.958~0.989,P<0.01),当院通院月数(HR 0.983,95%CI 0.973~0.994,P<0.01)が再飲酒抑制の因子として,3年間で自殺関連行動があったこと(HR 1.770,95%CI 1.023~3.061,P<0.05)が再飲酒のリスク因子として,それぞれ選別された.モデル適合度の判断基準としてモデルχ2検定を行ったところ,P<0.01で有意であった.違法薬物群は性別が男性であること(HR 2.646,95%CI 1.391~5.034,P<0.01),小児期逆境体験のうち慢性身体疾患があったこと(HR 1.906,95%CI 1.115~3.259,P<0.05),小児期逆境体験のうちいじめを受けたこと(HR 1.893,95%CI 1.141~3.140,P<0.05),小児期逆境体験のうち養育放棄を受けたこと(HR 2.210,95%CI 1.055~4.630,P<0.05),3年間に経済的自立を喪失した経験(HR 2.680,95%CI 1.235~5.814,P<0.05)が再使用のリスク因子として選別された.モデルχ2検定の結果はP<0.01で有意であった.処方薬市販薬群は小児期逆境体験のうち家族に慢性身体疾患があったこと(HR 3.463,95%CI 1.555~7.709,P<0.01),小児期逆境体験のうち親との離別があったこと(HR 2.971,95%CI 1.348~6.548,P<0.01),3年間で自殺関連行動があったこと(HR 2.993,95%CI 1.324~6.764,P<0.01),初診時調査の不信尺度得点が高いこと(HR 1.067,95%CI 1.001~1.137,P<0.05)が再使用のリスク因子として選別された.モデルχ2検定の結果はP<0.01で有意であった.

表1画像拡大表2画像拡大
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III.考察
1.アルコール群,違法薬物群,処方薬市販薬群の特徴
 本研究では物質使用障害患者をアルコール群,違法薬物群,処方薬市販薬群に分類し,初診後3年間の断酒断薬継続に関する予後を追跡調査により検討した.予後判明率が55.8%で予後不明者が多く,調査結果の解釈には注意が必要である.3群のなかではアルコール群が約6割と高く,違法薬物群は5割弱と低かった.違法薬物群の場合は逮捕や服役により電話が使えなくなるケース,回復施設などで携帯電話が使用禁止となるケース,密売人や薬物を一緒に使用していた知人との接触を制限するための対処として電話番号を変更するケースがありうるため,非通院者に電話調査という方法での追跡が困難であったと考えられる.初診時調査における属性ではアルコール群は年齢が高く習慣化年齢が遅いこと,違法薬物群は教育年数が短く習慣化年齢が早いこと,処方薬市販薬群で女性の割合が高かったことなど,先行研究の指摘4)37)と共通していた.初診時の質問紙調査における小児期逆境体験累積度数と心理尺度得点で,アルコール群に比して違法薬物群と処方薬市販薬群がより多くの逆境を体験し,不信感や被拒絶感が高く,ストレス対処力が低かった.初診時調査と予後調査で聴取した生活背景からは,アルコール群は既婚で同居者がおり経済的に自立していて3年間同じ仕事を継続していた者の割合が高いこと,逮捕や自殺関連行動の経験が少ないことから,社会生活上の変化や破綻は他の2群より少なかった.ただし初診後の当院入院経験や他院入院経験の割合も高く,依存症の症状や身体疾患で入院が必要になるほどの健康問題が生じることも多かった.違法薬物群は独身や独居の割合が高く,就労や経済的自立の手段がなく,生活保護受給者の割合が高いことから,孤独であった者や社会的経済的な側面で支援が必要な状態の者が多かった.3年後予後調査の時点では初診以降に職を得るなどして経済的自立を確立した割合,結婚した割合が高い一方,逮捕,服役も他の2群に比して高いことから,環境の変化が大きく,社会適応という意味での予後は良好と不良で二極化しやすい.処方薬市販薬群は初診時の平均年齢が若く経済的自立をしている者の割合が低いが,違法薬物群と異なり生活保護受給者の割合が高くはないことから,家族などの援助を受けていた者が多かったと考えられる.自殺関連行動の割合や当院入院経験の割合が高く,特に処方薬への依存のきっかけに何らかの精神疾患の治療があった場合など,先行もしくは併存する精神疾患を有する可能性も考慮する必要がある.

2.3年間の断酒断薬継続期間の評価
1)3年断酒断薬継続率の群間比較
 本研究では,断酒断薬期間について,3年間で最も長く断酒断薬を継続した期間を基準にして比較を行った.従来の物質使用障害の完全な断酒断薬という治療方針が変化しつつあることから,治療目標として断酒断薬を希望しない患者の来院も増え,初診直後には飲酒や薬物乱用を必ずしも止めていない事例が多いことが想定される.それと同時に,物質使用障害患者は治療過程において断酒断薬と飲酒再使用とを繰り返すことも多く,初診直後に乱用をしていたがその後に断酒断薬を決意してそれを継続する事例も存在しうる.そのような事例を3年間乱用が止まらなかった事例と区別するために,起点を初診の後に断酒断薬を開始した時期,イベント発生を再飲酒再使用で最長の断酒断薬が止まった時期に設定した.厳密に初診日を起点として初めての再飲酒再使用までの期間を基準として断酒断薬継続期間や継続率を算出した場合はさらに低い値をとることとなるが,再飲酒再使用から断酒断薬に移行した場合を含めての評価を試みた.
 アルコール群は3年断酒継続率が14.3%,中央値6ヵ月と違法薬物群に比して断酒継続が困難であった.断酒継続率が50%になるまでの期間が6ヵ月,25%になるまでが24ヵ月であったことは,松下による「入院治療後の断酒率は治療後2~3年で28~32%」34),鈴木による「(退院後)12~24ヵ月までに約20%に減少」49),山根による「2年で20%,3年で12~17%と減少する」52)という報告に近い結果である.違法薬物群は3年断薬継続率が46.5%,中央値32ヵ月で,アルコール群より良好であった.また,75%になる期間が12ヵ月,50%になるのが32ヵ月という結果は,『令和2年版犯罪白書』による刑の執行開始時の処遇調査を行う受刑者のうち覚醒剤取締法違反を含む者を対象とした調査において,身柄を拘束されていた期間を除いて1年間以上覚醒剤の使用を止めていた経験のある者の割合が男性82.6%,女性81.8%であったという報告と18),対象は異なるが数値としては近い.処方薬市販薬群に関しては予後調査の先行研究が少ないが,本研究の調査結果では3年断薬継続率(累積生存率)が20.0%,中央値12ヵ月であり,薬物使用障害ではあるが違法薬物群に比して低く,アルコール群の断酒継続率に近かった.
 主な治療目標が断酒断薬であったかどうかは,その治療を継続したかどうか次第ではあるが断酒断薬継続月数に影響する可能性はある.当院の治療方針では,物質使用障害患者の乱用物質がアルコール,違法薬物,処方薬市販薬いずれの場合であっても,必ずしも断酒断薬を絶対の治療目標に設定するとは限らず,患者本人のそのときの困りごとや治療に対する希望を聞きながら,主治医と患者との間で話し合って当面の治療目標を設定している.そのため,3群で治療目標が明白に異なることは考えにくい.ただし,アルコール群と処方薬市販薬群は違法ではないということ,さらにアルコール群は他の群に比して有職の割合,初診後も同じ職を続けている者の割合が高かったこともあり,生活上の問題があまり顕在化しないために,依存症という認識や乱用に対する困り感が生じにくく,治療目標として完全な断酒や断薬を希望せず,アルコール群の場合は身体的疾患やブラックアウトによって仕事などに差支えがなく過ごせる範囲での節酒を希望する,処方薬市販薬群の場合はその薬に頼らざるをえなくなった症状の緩和を希望する,などの傾向を示した可能性も考えられる.一方で違法薬物群は経済的自立の手段がないなど生活上の困りごとを抱える者の割合が高く,また乱用物質が違法なために断薬しなくてはいけないと感じて,診察場面で断薬の希望を伝える者が多く,それが当面の治療目標となっていた可能性も考えられる.さらに,アルコールや市販薬は乱用物質の入手が容易であるということから断酒断薬継続はより困難と推測される.違法薬物群は,あくまでも予後が判明した者に限られるが,乱用物質の入手可能性が他の2群に比しては低いであろうことも,長期に断薬を継続する傾向と関連していたと考えられる.
2)再飲酒再使用が起こるまでの期間に影響を与える要因の検討
 3群に共通して,再飲酒再使用の抑制因子として単独で影響していたのは,調査時点で自助グループに参加していること,自助グループ参加月数が長いこと,習慣化年齢が遅いこと,年齢が高いことであった.自助グループ参加が再飲酒再使用を抑制し断酒断薬継続に寄与すること7)19)35)43),若年の依存症患者の予後が不良であること15)48)52)53)はすでに多くの先行研究で示されていることと一致している.一方,リスク因子は初診から3年間での服役経験,逮捕経験,当院通院自己中断,経済的自立喪失,自殺関連行動であった.本研究では初診以降の逮捕・服役の有無を調査したため,再使用の影響因としてではなく,多くの場合は違法薬物群の再使用の結果として起きた事象と考えられる.それでも,先行研究によると犯罪歴は再飲酒や再使用と関連があり40)48)52),薬物事犯者の保護観察開始からの時間経過に伴って再使用率が高まり回復プログラムから遠ざかるという実態や30),刑期満了後に前科を伏せるために薬物不使用者との人間関係を回避することなどを再使用に至るプロセスと考察した研究5)もあり,服役を経た後の断酒断薬予後について経過を追跡し,再飲酒再使用を防止する支援について検討することは重要である.通院自己中断がリスク因子となることは,通院継続が断酒断薬に寄与することがすでに多くの先行研究で指摘されていることと一致する7)10)14)52).職業生活の安定も先行研究のいくつかにおいて断酒断薬の継続と関連するという指摘があり,本研究では職の継続が有意ではなかったが,職を含めた経済的自立を失う体験は再飲酒再使用のリスクとなっているということから,安定した社会適応と同時に,自身の居場所や安定を喪失する体験が再飲酒再使用に及ぼす影響も示唆される.
 自殺関連行動については,物質使用障害が自殺のリスク因子になることを示す研究が数多くあり33),再飲酒再使用への影響因ではなく結果として生じる可能性もあるが,物質関連障害と気分障害の併存の頻度が高くセルフメディケーションとしてアルコールを乱用する可能性12),パーソナリティ障害の患者のうちアルコールや薬物の問題を抱える症例で物質乱用と自傷行為が並行あるいは交互に出現する時期がある23)という臨床上の所見もあることから,自殺関連行動がリスク因子となりアルコールや薬物の再使用に至ることも考えられる.
 3群それぞれの多変量解析の結果,アルコール群は初診前の依存症専門治療歴,初診以降の自助グループの参加月数が長いこと,当院通院月数が長いことが再飲酒を抑制する因子,自殺関連行動がリスク因子であった.治療の継続性や自助グループ参加がそれぞれ断酒継続につながることは,これまでのアルコール使用障害における予後調査の報告と一致する.自助グループへの参加が通院治療の継続因であるという西川らの報告38),AA(Alcoholics Anonymous)という自助グループへの参加が自殺リスクを軽減するという橋本らの報告13)もあり,本研究の結果からもこれらの要因は1つだけではなく相互に関連して断酒断薬に影響し,専門治療や自助グループ参加など複数の治療的関係を長い期間経験し,自殺関連行動のリスクも軽減されることで,断酒の期間を長くすることが考えられる.アルコール群の断酒継続率は低く断酒継続期間も短いが,断酒ができないことを理由に治療を中断してしまうと却って回復から遠ざかるため,治療の継続を重視して飲酒量低減など多様な治療目標の設定を認め46),医療や相談の場につながりやすいようにすることが重要である.
 違法薬物群は,性別,小児期逆境体験としての慢性身体疾患・いじめ被害・養育放棄,初診後の経済的自立の喪失がリスク因子であった.前述の法務省の調査18)で1年以上の断薬は男女ともに高かったが,断薬努力経験者の割合が女性に顕著に高かったとあり,断薬理由として男性の割合が高かった項目が「仕事がうまくいっていた」であり,経済的基盤を失った経験が再使用の影響因となるという本研究の結果もそれに共通すると考えられる.小児期の養育放棄やいじめは家庭や学校で攻撃や排斥を受けた体験,慢性身体疾患をもっていたことは疾患によっては運動制限や内服などにより他の多くの子どもと生活を共有しにくい体験であったと考えられる.そのような生育歴から人を信じられない,理解してもらえないという思いを成人以降も抱える場合には,ストレス状況下で人に援助を求められずに薬物で対処しようとするパターンに陥りやすく,さらに経済的自立を失うという体験が加わることで再使用の危険が高まる.社会適応のための支援に並行して,本人の生育歴に共感的に耳を傾け,治療の場で安心できるような支援や,日常場面でもわかってもらえると感じられる対人関係を構築できるように,孤立を防ぐ居場所の提供が重要である.
 処方薬市販薬群では,小児期逆境体験のうち家族の慢性身体疾患,親との離別,初診時質問紙調査における「不信」得点の高さ,初診後の自殺関連行動が再使用のリスク因子であった.特に処方薬の使用障害では一般精神科医療機関における治療開始時の状態像として物質関連障害に次いで気分障害,不安障害,パーソナリティ障害がみられ,自己破壊的行動の経験をもつ者が多く28)29),それらの疾患の治療を含めた包括的な支援が必要となる4)41).森田らは薬物乱用者における希死念慮に関連する危険因子を検討し,死のうと考えたことがある群の断薬期間は短く,危険因子として生育期の虐待,断薬後1年以内の時期,精神科薬の使用などのポイントを明らかにした36).本研究の結果からも,処方薬市販薬の乱用がある者に対しては,乱用を止めるだけでなく,逆境的な体験から生じる心理的な苦痛や不信感を薬物への依存で和らげようとしてきた患者に対し,乱用を止めた後の健全な対処法を身につけるフォローが特に必要といえる.小児期逆境体験のなかでは明白な被虐待体験よりも,家庭において親と離別した喪失体験や,子どものうちから家族をケアする役割をとる可能性のある経験が影響因となっていた.ヤングケアラー6)が自責や過剰適応傾向が強くなること44),心身的発達に重要な仲間との交流や学習などが妨げられていたことに目を向けられにくいこと42)が指摘されており,そのような体験や傾向をもつ患者に対し,過剰適応傾向を和らげ他者との信頼関係のもと援助希求ができるような治療的介入も有用と考えられる.

3.本研究の意義
 本研究では,依存症専門外来を初診した物質使用障害患者の3年後予後調査をもとに,3年間の経過において最も長く断酒断薬を継続した期間を生存分析によって評価し,どのようなことが影響因となりうるかを,アルコール使用障害,違法薬物乱用の薬物使用障害,処方薬市販薬乱用の薬物使用障害の3群で比較検討を試みた.これまでのアルコール使用障害もしくは薬物使用障害の予後に関する追跡研究では,入院治療を受けた患者の退院後に関するものが主であり,アルコール使用障害と薬物使用障害を比較した研究はほとんどみられなかった.アルコール使用障害は生活上の破綻が少ないが断酒継続は困難で入院に至るケースも多く,一方で継続的治療や自助グループへの参加は断酒断薬の継続に影響していた.そのことから,断酒断薬継続を絶対目標として治療中断とならないように,まずは通院や自助グループへの定着を促し,複数の支援者と長期間のかかわりを継続することが望まれる.違法薬物の薬物使用障害は断薬継続という意味ではアルコール使用障害に比して予後は良好だが,生活上孤独であったり支援が必要であったりするケースが多く,小児期逆境体験や現在の喪失体験などが再使用のリスクになることを踏まえて,孤独ではないと感じられる働きかけが望まれる.処方薬市販薬の薬物使用障害は,断薬継続という点では違法薬物よりもアルコール使用障害に近い一方,小児期逆境体験がリスク因子になっていることは違法薬物使用障害と共通していた.自殺関連行動が他の2群より多く,それは再使用とも関連しやすいため,自殺関連行動や薬物乱用で対処行動をしようとしている根底にある不安へのアプローチや,治療の場で安心や安定を感じて援助を求められる体験を提供することが望まれる.このように,乱用物質によって断酒断薬予後や影響因が異なることが明らかになり,治療目標設定の一助になることが期待される.

4.本研究の限界と今後の課題
 本研究の限界として,第一に単一施設での研究であり症例数が限られ偏りを有することが挙げられる.今後はデータを蓄積すること,多施設研究を計画するなどの方法により施設特有の偏りが生じないよう工夫することなどが課題となる.第二に,予後調査でバイアスが生じている可能性が否定できないことである.予後判明者のみを分析した追跡研究であることから生じる脱落バイアスや未回答者バイアス,予後調査が自己申告に基づくことから飲酒や薬物使用に関する質問に対して過小申告をするなどの社会的望ましさバイアスなどが生じる可能性があり,客観性が保証されないことを考慮する必要がある.第三に,最長の断酒断薬期間の起点が事例により異なり,事例により初診時から断酒断薬の開始あるいは再飲酒再使用の開始の期間が異なることで初診時の心理特性を問う尺度得点が及ぼす影響の違いや,3年という期間を経た後の初診時からの心理特性の変化を検討できていないことである.第四に未知要因が交絡因子となっている可能性である.例えば,各回答者にとって自身の乱用物質の入手のしやすさがどの程度であるか,断酒断薬を希望して来院したかどうか,来院時に主治医との話し合いでどのような治療目標が設定されたかなどの要因が群ごとに異なる特徴を有する場合は断酒断薬期間にも影響を及ぼしうるが,本研究ではこれらについて定式化した質問項目を設けなかったため説明変数として扱わなかった.このような要因を考慮したさらなる調査方法の改善も課題である.第五に,予後調査で聴取した項目を断酒断薬期間に影響を及ぼしうると考えて説明変数としたが,初診後に起きたことが常に断酒断薬あるいは再飲酒再使用に先行していたという確認がとれていないことであり,今後の調査研究では,重要なライフイベントや治療的介入の時期と断酒断薬の時期について時系列で把握できるような質問の仕方を工夫することが課題である.特に,本研究の調査結果では小児期逆境体験や初診後の自殺関連行動が断酒断薬期間の影響因となる可能性が示唆されたが,小児期逆境体験と関連する,あるいは自殺リスクのある精神疾患の併存の有無,さらにそれが物質使用障害に先行するものか二次的に生じたものかという詳細な評価までは行えていない.初診後の自殺関連行動については断酒断薬継続の影響因と想定して説明変数の1つとして投入したが,事例によっては飲酒や再使用の結果として希死念慮が高まったエピソード,あるいは飲酒や再使用と自殺関連行動とが同時に生じたエピソードを有することもありうるため,通院継続の期間に限られるが診療録から綿密に評価を行うなどにより,希死念慮や自殺関連行動と再使用の悪循環を予防する介入について論を深めることができると考えられる.第六に,今回は,断酒断薬継続期間を回復の指標として影響因を検討するための統計解析を行ったが,物質使用障害には断酒断薬や再飲酒再使用に限らない多様な治療目標があるということが挙げられる.断酒断薬に限らない治療目標の選択肢が広がったことを受けて,かつ,酒や薬物に頼らない期間を長くもてることの肯定的意味も吟味したうえで,物質使用障害患者の回復像についてより明確に視点を据え,断酒断薬継続に影響を及ぼす,あるいは並行して生じる変化を目的変数とした解析も含めた調査計画も課題としたい.

おわりに
 本研究では,物質使用障害で依存症専門外来を2015年5月~2018年4月に初診した397名の患者の初診時調査と,それぞれの患者の初診3年後である2018年5月~2021年4月の3年間にわたって実施した長期予後調査の結果を解析した.調査対象者の乱用物質からアルコール群,違法薬物群,処方薬市販薬群の3群に分類し,基本属性,初診時調査の結果,3年後予後調査の結果の比較を行い,3年間のうち最も長く断酒断薬を継続した月数を生存変数,再飲酒再使用をイベントとして生存分析を実施した.3年断酒断薬継続率(累積生存率),および半数の患者が断酒断薬を継続できた最長月数の中央値は,アルコール群14.3%,6ヵ月,違法薬物群46.5%,32ヵ月,処方薬市販薬群20.0%,12ヵ月であり,違法薬物群がアルコール群と処方薬市販薬群に比して有意に断酒断薬継続率は高かった.アルコール群は3年間を通して生活上の破綻は少なかった一方で断酒継続月数は短く3年間で入院した者が多かった.違法薬物群は断薬継続月数が長かった一方で生活上は孤独であったり社会的経済的な支援を要したりする者が多く,3年間で逮捕や服役を経験した者が多かった.処方薬市販薬群の断薬継続月数は短く,3年間で入院した者が多く,自殺関連行動をした者も多かった.再飲酒再使用に影響を及ぼす要因は,アルコール群では初診前の依存症治療歴と初診後の通院継続と自助グループ参加の長さが抑制因子,自殺関連行動がリスク因子だった.違法薬物群は男性であること,小児期の慢性身体疾患・いじめ・養育放棄という逆境体験,初診後経済的自立を喪失する体験がリスク因子だった.処方薬市販薬群は小児期の親との離別・家族の慢性身体疾患という逆境体験,初診時の心理尺度「不信」得点の高さ,自殺関連行動がリスク因子だった.このように,アルコール使用障害と薬物使用障害,薬物使用障害のなかでも乱用物質が違法薬物か処方薬市販薬であるかによって,3年間で断酒断薬を継続しうる期間や3年断酒断薬を達成する者の割合,断酒断薬継続に関連する要因が異なる可能性が示唆された.

 なお,本論文に関連して開示すべき利益相反はない.

 謝 辞 本研究にご協力いただいたすべての患者に深く感謝申し上げる.
本研究は,第116回日本精神神経学会学術総会において発表したものから,調査を継続して加筆,修正したものである.

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8) 長 徹二: アルコール依存症の実態に関する研究. 平成27年度厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業〔障害者政策総合研究事業(精神障害分野)〕アルコール依存症に対する総合的な医療の提供に関する研究 平成27年度総括研究報告書(研究代表者: 樋口 進, 課題番号201516029 A). p.19-169, 2016

9) Felitti, V. J., Anda, R. F., Nordenberg, D., et al.: Relationship of childhood abuse and household dysfunction to many of the leading causes of death in adults. The Adverse Childhood Experiences (ACE) Study. Am J Prev Med, 14 (4); 245-258, 1998
Medline

10) 原田勁吾, 竹元隆洋: 2回の集中内観を行った依存症者の予後調査. 内観研究, 26 (1); 47-59, 2020

11) Harm Reduction International: What is harm reduction? 2021 (https://www.hri.global/what-is-harm-reduction/) (参照2022-01-01)

12) 橋本恵理, 齋藤利和: アルコール依存症と気分障害. 精神経誌, 112 (8); 780-786, 2010

13) 橋本省吾, 芦沢 健: 北海道におけるAA有志を対象とした自殺リスクに関する調査. 日本アルコール・薬物医学会雑誌, 47 (6); 308-316, 2012

14) 蓮尾 玲, 望月美智子, 森末彩香ほか: 東京アルコール医療総合センター退院後の予後と生活の質に関する調査. 日本アルコール関連問題学会雑誌, 18 (1); 179-184, 2016

15) 樋口 進, 山田耕一, 村岡英雄ほか: 若年アルコール症者の予後に関する研究. 精神経誌, 88 (3); 181-205, 1986

16) 廣 尚典, 島 悟: 問題飲酒指標AUDIT日本語版の有用性に関する検討. 日本アルコール・薬物医学会雑誌, 31 (5); 437-450, 1996

17) 廣 尚典: WHO/AUDIT問題飲酒指標検査手引. 千葉テストセンター, 東京, 2000

18) 法務省: 薬物犯罪―特別調査―. 令和2年度版犯罪白書. 2020 (https://www.moj.go.jp/content/001338450.pdf) (参照2021-10-03)

19) 猪野亜朗: アルコール依存症の短期予後と長期予後―断酒会員の追跡調査から―. 精神経誌, 93 (5); 334-357, 1991

20) 板橋登子, 小林桜児, 黒澤文貴ほか: 小児期逆境体験が物質使用障害の重症度に及ぼす影響―不信感, 被拒絶感, ストレス対処力の低下を媒介としたモデル検討―. 精神経誌, 122 (5); 357-369, 2020

21) 小林桜児, 上條敦史, 松本俊彦ほか: 薬物関連精神障害者専門病院利用者の予後についての研究. 平成18年度厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業)薬物乱用・依存等の実態把握と乱用・依存者に対する対応策に関する研究(H17-医薬-一般-043)研究報告書(研究代表者: 和田 清, 課題番号200637038 A). p.173-184, 2007

22) 小林桜児: 薬物依存治療の新たな展開. 精神科治療学, 25 (5); 645-650, 2010

23) 小林桜児: いわゆる「パーソナリティ障害」症例におけるアルコール・薬物問題をどのように認識し, 対応するか―Khantzianの「自己治療仮説」と「信頼障害」という観点から―. 精神医学, 54 (11); 1097-1102, 2012

24) 小林桜児: 人に頼れない, 物にしか頼れない. 人を信じられない病―信頼障害としてのアディクション―. 日本評論社, 東京, p.33-65, 2016

25) 国立精神・神経医療研究センター: ダルク追っかけ調査2018―利用者データブック―. 2019 (https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/reference/pdf/darc2018.pdf) (参照2021-02-19)

26) 小沼杏坪: 覚せい剤と関連精神障害―治療. 薬物・アルコール関連障害(佐藤光源, 洲脇寛責任編集, 臨床精神医学講座第8巻). 中山書店, 東京, p.236-253, 1999

27) 小沼杏坪: 薬物依存症に対する治療・処遇と回復支援における光と影―急性期治療から地域生活支援まで―. 精神経誌, 113 (2); 172-182, 2011

28) 松本俊彦, 尾崎 茂, 小林桜児ほか: わが国における最近の鎮静剤(主としてベンゾジアゼピン系薬剤)関連障害の実態と臨床的特徴―覚せい剤関連障害との比較―. 精神経誌, 113 (12); 1184-1198, 2011

29) 松本俊彦, 成瀬暢也, 梅野充ほか: Benzodiazepines使用障害の臨床的特徴とその発症の契機となった精神科治療の特徴に関する研究. 日本アルコール・薬物医学会雑誌, 47 (6); 317-330, 2012

30) 松本俊彦, 高野 歩, 熊倉陽介ほか: 保護観察の対象となった薬物依存症者のコホート調査システムの開発―Voice Bridges Project―. 更生保護学研究, 14; 3-18, 2019

31) 松本俊彦: 全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査. 令和2年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)薬物乱用・依存状況の実態把握と薬物依存症者の社会復帰に向けた支援に関する研究 総括・分担研究報告書(研究代表者: 嶋根卓也, 課題番号19KC2011). p.41-104, 2020

32) 松岡照之, 福居顯二: アルコール・薬物関連障害の病態と診断. 医学のあゆみ, 233 (12); 1131-1135, 2010

33) 松下幸生, 樋口 進: アルコール関連障害と自殺. 精神経誌, 111 (10); 1191-1202, 2009

34) 松下幸生: アルコール依存症の治療総論. 日本アルコール関連問題学会雑誌, 14 (1); 62-67, 2012

35) 森 宏明, 荒記俊一, 横山和仁ほか: アルコール依存症者の断酒因子に関する疫学的研究. アルコール研究と薬物依存, 28 (6); 453-466, 1993

36) 森田展彰, 幸田 実, 梅野 充ほか: 薬物乱用者の希死念慮の危険因子に関する研究. 日本アルコール・薬物医学会雑誌, 47 (1); 24-38, 2012

37) 村上 優, 杠 岳文, 比江島誠人ほか: 薬物依存の治療. 医療, 54 (5); 206-211, 2000

38) 西川京子, 橋本直子, 立木茂雄ほか: アルコール乱用・アルコール依存症外来患者の治療中断要因の研究(II)―質問紙調査の結果から―. 日本アルコール・薬物医学会雑誌, 37 (5); 496-504, 2002

39) 西村康平: 依存症治療とハームリダクション. 治療, 102 (3); 266-269, 2020

40) 奥平謙一: 覚醒剤乱用者と有機溶剤乱用者の予後. アルコール研究と薬物依存, 21 (4); 304-305, 1986

41) Parr, J. M., Kavanagh, D. J., Cahill, L., et al.: Effectiveness of current treatment approaches for benzodiazepine discontinuation: a meta-analysis. Addiction, 104 (1); 13-24, 2009
Medline

42) 佐藤みのり: うつ病の親を持つ子どもがヤングケアラー化し精神疾患を発症する場合―複線径路・等至性モデルによるプロセスの検討―. 心理臨床学研究, 36 (6); 646-656, 2019

43) 佐藤忠宏, 唐住 輝, 荻野新六ほか: アルコール中毒患者の予後調査―断酒会との関係において―. 精神医学, 15 (11); 1167-1176, 1973

44) 澁谷智子: ヤングケアラーに対する医療福祉専門職の認識―東京都医療社会事業協会会員へのアンケート調査の分析から―. 社会福祉学, 54 (4); 70-81, 2014

45) 嶋根卓也, 今村顕史, 池田和子ほか: DAST-20日本語版の信頼性・妥当性の検討. 日本アルコール・薬物医学会雑誌, 50 (6); 310-324, 2015

46) 新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン作成委員会 (監修), 樋口 進, 齋藤利和ほか編: 新アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン 新興医学出版社, 東京, 2018

47) 杉山 崇, 坂本真士: 抑うつと対人関係要因の研究―被受容感・被拒絶感尺度の作成と抑うつ的自己認知過程の検討―. 健康心理学研究, 19 (2); 1-10, 2006

48) 洲脇 寛: アルコール中毒者の予後に関する研究. 精神経誌, 77 (2); 89-106, 1975

49) 鈴木康夫: アルコール症の予後に関する多面的研究. 精神経誌, 84 (4); 243-261, 1982

50) 髙山敏樹, 新井平伊: 「もの忘れ外来」におけるアルコール問題. 老年精神医学雑誌, 32 (1); 22-33, 2021

51) 戸ヶ里泰典, 山崎喜比古, 中山和弘ほか: 13項目7件法sense of coherenceスケール日本語版の基準値の算出. 日本公衆衛生雑誌, 62 (5); 232-237, 2015

52) 山根 隆, 新福尚武: アルコール中毒の長期予後に関する研究. 東京慈恵会医科大学雑誌, 93 (4); 458-474, 1978

53) 山下亜矢子, 折山早苗, 渡邉久美: 薬物依存症患者の断薬に影響する要因―QOL, 自尊感情との関連―. 日本看護研究会雑誌, 36 (2); 47-57, 2013

54) 山崎喜比古: 健康への新しい見方を理論化した健康生成論と健康保持能力概念SOC. Quality Nursing, 5 (10); 825-832, 1999

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