Advertisement第121回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第126巻第10号

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先達に聴く
第119回日本精神神経学会学術総会
児童精神科臨床の展望―初期研修段階での経験とその後の児童精神科医としての歩みから―
齊藤 万比古
恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育研究所
精神神経学雑誌 126: 693-701, 2024
https://doi.org/10.57369/pnj.24-111

 著者が経験した精神科医としての研修は,精神科単科病院である木更津病院における常勤医としての勤務(1975~1979年)と同じ時期に,委託研究生として受けた千葉大学病院精神科における力動的精神療法および児童精神科臨床の研修であった.その時期に学んだ精神分析理論や力動的な発達論,あるいは子どもの精神療法であるプレイセラピーの実践経験などは,著者が児童精神科医を専門性として選択しようとする決断の背中を強力に押してくれる要因となった.そして,1979年から国立国府台病院所属の児童精神科医として2013年3月まで34年間仕事をしたなかで,著者はさまざまな精神疾患をもつ子ども,とりわけ不登校を主症状とする子ども,あるいは不安症や摂食障害などの子どもの外来治療および入院治療に取り組んできた.その経験を通じて著者は児童精神科入院治療論と不登校論に特に関心をもち,早い段階からそれらの探求を生涯の課題と考えるようになっていた.それからさらに10年以上過ぎた現在,著者なりに大切にしている児童精神科医であることの心得として,(i)診療対象としての子どもの時代的変化についていくこと,(ii)児童精神科治療を構造的にとらえること,(iii)子どもの心の高い可塑性を生かすことの3点を挙げることで,児童精神科臨床の今後の発展のための展望とした.

索引用語:精神科研修, 児童青年精神医学, プレイセラピー, 不登校, 児童精神科入院治療>
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