著者は大学病院の精神科に勤務し,研究や教育を行うとともに臨床業務として外来診療を実施し,入院診療全体の管理と専攻医の指導を行っている.外来診療患者は,強迫症を中心とした不安障害領域の患者が最も多く,次いで気分障害や発達障害の患者の割合が多い.再来に関しては系統的な介入を行う一部の患者を除いて,専門外来枠は設けず,ほとんどの患者を同じ再来枠のなかで診ている.診療スタイルの基本にあるのは認知行動療法であるが,全例にかっちりとした系統的精神療法を実施することは時間的に不可能であり,いかにそのエッセンスをちりばめられるかを意識しながら診療を行っている.それによって,たとえ短時間の診療であってもその有効性を高められると考える.また,丹念な聴き取りとその理解に基づいた面接は,治療者とともに患者自身の症状理解をもたらし,患者と治療者の信頼関係構築にもつながると感じている.本稿では,短時間の外来診療への認知行動療法の活かし方について,主に強迫症の診療場面を呈示しながら具体的な説明を行いたい.
認知行動療法を一般診療に活かす
九州大学大学院医学研究院精神病態医学
精神神経学雑誌
126:
664-670, 2024
https://doi.org/10.57369/pnj.24-107
https://doi.org/10.57369/pnj.24-107
<索引用語:認知行動療法, 一般診療, 治療者-患者関係, 介入, ホームワーク>