Advertisement第121回日本精神神経学会学術総会

掲載論文ハイライト

精神医学のフロンティア | 291-298頁
小原 知之,二宮 利治
65歳以上の地域在住高齢者1,346人を5年間追跡した結果,血漿Aβ42/40低値とリン酸化タウ181高値はアルツハイマー型認知症の発症と,グリア線維性酸性蛋白高値と神経フィラメント軽鎖高値は認知症の発症と有意に関連した.また,これらの血漿バイオマーカーを加えることで,認知症発症の予測能は有意に向上した.
回避・制限性食物摂取症(ARFID)は,児童・青年のみならず成人にもみられ,2013年に初めてDSM-5に登場し,DSM-5-TR,ICD-11にも踏襲された.他の摂食症と区別して対応,治療されつつある.本稿では,ARFIDについて疫学,病態,症状の特徴,鑑別診断,併存症,対応,治療などについて解説し理解を深めた.
総説 | 309-319頁
吉村 玲児,坪井 貴嗣,佐渡 充洋,池ノ内 篤子,渡辺 洋一郎,佐々木 達也,井上 幸紀
気分症患者の復職促進と基準均てん化について論じた.気分症は,経済的影響や個人のQOLを低下させる.しかし,職場復帰を促進するためのガイドラインはまだ十分に整備されていない.これを改善するための戦略や職場復帰の基準を均てん化し,患者の回復を促進するために,臨床的回復,個人的回復,社会的回復の3つの側面からアプローチすることを提案した.
特集 | 320-339頁
熊﨑 努,前田 貴記,岡 一太郎
本特集では,「一次性妄想の内包と外延」というテーマのもと,「妄想の記述的特徴をめぐって」,「妄想知覚において現れる“他者”とは誰れか?―「異質性(Fremdheit)」の浸潤―」,「慢性統合失調症における妄想着想の遊戯性について」について論じる.
うつ病は重大な健康問題で,心理社会的ストレスが関与するが,同様のストレス環境でも発症する人としない人がいる.私たちはストレス適応の異なる2種類のマウス系統を用いて,適応に必須の脳部位として前帯状皮質を特定した.さらにヒトとマウスに共通のストレス適応にかかわる分子として転写因子Fosを同定し,この遺伝子発現制御の新たな分子経路を見出した.
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精神神経学雑誌表紙

最新号

2025年5月
特集:『一次性妄想の内包と外延』
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