Advertisement第121回日本精神神経学会学術総会

論文全文

第123巻第2号

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ICD—11 「精神,行動,神経発達の疾患」分類と病名の解説シリーズ
ICD-11「精神,行動,神経発達の疾患」の開発の経緯
丸田 敏雅1), 松本 ちひろ2), 秋山 剛3), 神庭 重信4)
1)聖徳大学
2)公益社団法人日本精神神経学会
3)NTT東日本関東病院精神神経科
4)日本うつ病センター/飯田病院/九州大学名誉教授
精神神経学雑誌 123: 100-107, 2021

 国際疾病分類第11回改訂版(ICD-11)の導入版が2018年6月に公開された.改訂作業を進めるのに際し,最初に国際アドバイザリーグループが2007年に立ち上げられてから10年以上が経過し,2019年5月に世界保健総会でようやく承認を受けた.診断分類システムのエンドユーザーである臨床家にとって診断分類システムがより使いやすいものとなれば,長期的視点に立てば良質なヘルスデータの蓄積につながる.疾病負荷の軽減をめざす世界保健機関にとって,方針決定に用いるヘルスデータが良質であることは非常に重要である.臨床的有用性の向上を通して疾病負荷の軽減を図るICD-11の試みを,本稿では種々のフィールドスタディの紹介を交えながら概説する.今回の改訂プロセスでは,ごく初期段階から臨床家の意見が積極的に取り入れられ,大分類の構築から信頼性と有用性の検討の工程に至るまで一貫して,多文化・多言語の取り組みが維持された.臨床場面でICD-11が積極的に取り入れられ,疾病負荷軽減に貢献することが期待される.

索引用語:ICD-11, 診断, 分類, DSM-5, WHO>

はじめに
 2018年6月に,国際疾病分類第11回改訂版(International Classification of Diseases and Related Health Problems,11th Revision:ICD-11)の導入版が公開された12).国際疾病分類第10回改訂版(International Classification of Diseases and Related Health Problems, 10th Revision:ICD-10)11)と比較すると大きな変更も少なからず盛り込まれている.一方で,2013年に刊行されたDSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Fifth Edition)1)とのハーモナイゼーションが比較的良好に保たれたため,全体としてICD-10からは順当なアップデートとおおむね受け止めることもできる.本稿では,ICD-11診断ガイドライン作成作業の過程を紹介し,またICD-11に含まれる診断カテゴリーやDSM-5との相違についてふれる.

I.改訂作業における精神分野の組織構成とその経過
 世界保健機関(World Health Organization:WHO)によるICDの改訂作業はWHOの「分類と用語部」が中心となり,WHO国際分類ファミリー・ネットワーク(Family of International Classification:FIC)の分類改訂委員会(Update and Revision Committee)のもと改訂運営委員会(Revision Steering Group)が設けられ,その分科会として分野別専門委員会(Topical Advisory Group:TAG)が設置された.精神部門は,WHOの「精神保健および物質乱用部」が中心になり,分野別専門委員会である「WHO ICD-10精神および行動の障害改訂のための国際アドバイザリーグループ(WHO International Advisory Group for the Revision of ICD-10 Mental and Behavioural Disorders:AG)」が設立された.「精神および行動の障害」の改訂作業は,この最高意思決定機関であるAGが改訂の骨子を決定し,開始された.第1回AG会議は2007年1月にジュネーブのWHO本部で開催された.
 その後,このAGのもと,複数のワーキンググループ(WG)およびコーディネーティンググループが設立された.ワーキンググループとは,気分症群,不安症群,精神症群,児童および思春期の疾患群など,主に疾患群の分野別に専門家により構成されるグループであり,最終的には14のWGが設置された.これらのWGには,専門性はもちろんのこと地政学的バランスおよび男女比なども配慮され,WGごとに10数名の委員が任命された.各WGでは,エビデンスの集積と検討,およびそれに基づくICD-11診断ガイドラインに向けた提言作成が行われた.
 WGに比して,コーディネーティンググループはより実働部隊的な色彩が強く,資金調達,各関連団体との連携,DSMとの関係調整などを各々担う役目を負った.このコーディネーティンググループに2009年9月に新たに加えられたのが,後述するFormative Field Studies Coordinating Group(FFSCG)である.FFSCGはさらに後年,Field Studies Coordination Group(FSCG)に発展することとなる.

II.改訂作業の主眼におかれた臨床的有用性とFFSCGの活動
1.臨床的有用性を主眼に掲げた背景
 今回の改訂に際し,臨床的有用性がその主眼に据えられた6).その背景は以下のようにまとめられる.
 そもそも診断分類システムとは,一義的には診断の補助に用いられるものであり,個々の症例の治療やマネージメントに活かされるものである.しかしより広い視野では,個々の診断そのものがヘルスデータを構成するものであり,診断という行為の質が向上するほど,その結果あるいは集合体であるヘルスデータの質も向上する.よりよいヘルスデータは臨床,研究,施策とあらゆる分野に活用されるため,ヘルスデータの質向上はすなわち疾病負荷の軽減につながる.この疾病負荷の軽減,言い換えればより健康な生活の推進こそが,診断分類の枠組みにとどまらず,WHOのめざすところである.そういった意味で,診断分類システムと疾病負荷は,遠いようで決して無関係ではないのである.
 これまで改訂作業が約10年ごとに実施されてきたことを考えると,ICD-10に関しては出版からICD-11出版までに20年以上が経過することになり,定期的改訂のサイクルを大幅に過ぎていた.しかし,反面,一部の疾患を除き,診断分類システムのあり方の根本的見直し,すなわちパラダイムシフトを迫るような精神医学的知見は不十分との見解がWHOにおいては優勢であった.
 ICDが世界規模で長期にわたり使用されるものであることや,現行の診断分類体系から大幅な変更を行えば現場での混乱が予測されることを考慮すれば,WHOとしては新たな知見を診断分類システムへ反映させることに対しては慎重にならざるをえなかった.なお,WHOは生物遺伝学的研究に決して無関心ではなく,生物遺伝学的知見を軸とした新たな診断分類体系の構築を進める国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health:NIMH)が行っているRDoC(Research Domain Criteria)プロジェクトの責任者であったCathburt, B. を上記のAGやFFSCG会議に招聘するなど,ICD-11改訂作業を越えてより長期的な視野で生物遺伝学的知見を今後の診断分類システムに反映させる姿勢もみせていた.
 一方で,現行の診断分類システムは臨床場面での運用に際し診断カテゴリの数や診断分類システムの複雑さの観点から大いに改善の余地があるという指摘もあった.本来ICDが活用されうる場であっても,現場でのニーズに沿ったものとなっていない,使用に際し必要とされる時間的,人的ないし教育的リソースが十分ではないなどといった理由から,ICDの活用度が限定されているケースが報告された.このためWHOとしては,他分野では診断に関する科学的知見をベースとした大幅な改訂の必要性に迫られているのに対し,精神分野ではそれに該当する知見が得られない現状を踏まえて,今回の改訂を,ICDをより有用性の高い診断分類システムへと改善する好機と捉えた.ユーザーにとっての使いやすさを向上させることで,質の高いヘルスデータを得て,それを臨床や研究,施策に活かせれば,疾病負荷の軽減にも貢献するだろう,という見通しである.
 このような背景で,精神分野の改訂でキーワードとして挙げられたのが臨床的有用性である.

2.臨床的有用性推進のための組織づくり
 これまでに行われてきた改訂作業では,各分野における専門家の意見の集約(エキスパート・コンセンサス)が改訂作業の中心であった.したがって,草案が完成した後に施行されるフィールドスタディは,すでにある程度骨子が固まったモデルの確認作業のようなものであり,さまざまな使用現場において実際の使用に耐えうるものかという視点が欠けていた感が否めない.これに対し今回の改訂では,実際のユーザーである精神科医をはじめとする医師,研究者,その他関連領域の医療従事者にとってのいわば使いやすさの向上を掲げているため,より初期段階からユーザーをICD-11草案作成の基盤になる研究の対象に含めていく動きがあった.この目的のため組織されたのがFFSCGである.
 FFSCGは“formative”の語が象徴するとおり,ICD-11の骨子のベースとなる探索的要素の強いフィールドスタディを計画し実行するために組織されたグループである.ここでいう探索的とは,エキスパート・コンセンサスに依拠するモデルを前提とし,その信頼性や有用性を確認するのではなく,診断分類システムのあり方を,ユーザーである臨床家の声を最大限に活かしつつ,ボトムアップ方式で根本から見直すことをいう.その趣旨から,FFSCGが行うフィールドスタディでは,実用性を重視し現場の声を可能な限り吸い上げていく手法が採られた.

3.FFSCGの掲げた3つの課題
 FFSCG内において,フィールドスタディの計画および遂行にあたり検討すべき課題として挙げられたのが以下の3点であった.
 さまざまな使用状況を想定した際,a)どの疾患,状態ないし問題が診断分類システムに含まれていれば,b)各疾患に関する情報がどのように提示されれば,c)各疾患カテゴリの大枠がどのように構成されていれば,精神疾患の診断・治療が最も速やかにすすめられるか?
 例えば,項目a)については,表1にみられるように,ICD-11では遷延性悲嘆症や複雑性心的外傷後ストレス症が含まれることとなった.これらはDSM-5にはない診断カテゴリであるが,WHOとしては,これらが含まれていたほうが公衆衛生の観点からより良質なヘルスデータの収集が可能になるという判断である.項目b)についての成果としては,箇条書きにまとめられた情報を全疾患群共通のフォーマットで示すという方針に表れている.DSMが採用するpolytheticな操作的診断基準のほかに,記述式診断基準やプロトタイプ型診断基準などが情報の提示法として検討された.最終的には,診断基準に相当する「診断に必須の特徴」を筆頭に,「付加的特徴」「正常との境界」および「他の疾患や状態との境界」の大きく4種類の項目ごとに掲載することとなった2).項目c)の詳細については,次項FFSCGの活動に譲るが,診断分類システムの大枠を決定するうえでも臨床的有用性の観点が重要視された.

4.FFSCGの活動
 改訂作業の比較的初期に行われたフィールドスタディに,臨床家が自然発生的に獲得する精神疾患のマッピングについて探索したものがある.表2に示すように,ICD-11の疾患群のまとまりや配置はICD-10から大きく変更されたが,本フィールドスタディはこのICD-11の大枠の根拠となったスタディである.
 ICD-10を使用する際に,例えば反応性愛着障害がどこに位置するのか,即答できるだろうか.あるいは,注意欠如多動症(attention deficit hyperactivity disorder:ADHD)はどうだろう.ICD-10では「F9 小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害」という括りがあったため,いずれもここに収載されていたのだが,病因や臨床的対応などの観点から,これらが大きく異なることは自明であろう.
 臨床家は,ICDなりDSMをベースとする教育を受けても,それとは別に自らの診療体験に基づく精神疾患の体系だった理解を獲得しているという想定のもと,臨床家一人一人がもつ精神疾患のマッピングを検討するフィールドスタディが行われた7)10)表3は,調査結果をもとに当時提案された疾患群の構成である.ICD-11で最終的に採用となった疾患群の構成とほぼ共通であるのがわかる.
 これらの研究によれば,もちろん従来の教育の影響を受けて反応性アタッチメント症やADHDを単に小児期・青年期の疾患と括る臨床家もいる一方,反応性アタッチメント症を心的外傷後ストレス症(post-traumatic stress disorder:PTSD)や適応反応症<適応障害>と同様に外的環境要因との相互作用の文脈で位置づける一群や,ADHDを神経発達の問題とみなす一群の参加者もいることが確認された.こういった結果を根拠に,ICD-11の章立てはICD-10から大きく見直されている.
 ICD-11の章立ては,結果的にDSM-5のそれと非常に近しいものとなっている.近年の科学的知見を軸にした結果,双方の作成者,つまりアメリカ精神医学会(American Psychiatric Association:APA)とWHOが各々似たような着地点を見いだしたというのは自然な流れである.それに加え,ICD-11はさらに臨床家の感覚との整合性という観点のエビデンスにも裏打ちされた提案であるという意義も強調できる.

表1画像拡大表2画像拡大表3画像拡大

III.Evaluative field studies
1.世界各国のICD-11に興味関心を抱く精神保健専門家をつなぐネットワーク
 ICD-11改訂に向けて行われたフィールドスタディの後半を紹介するうえで,Global Clinical Practice Network(GCPN)と呼ばれる世界各国の精神保健専門家のネットワークにもふれておく必要がある.ICD-11関連のフィールドスタディを行ううえで,診断にかかわってくれる専門家の協力は欠かせない.しかしICD-10作成当時は,インターネットの整備や電子媒体の普及が十分ではなく,自ずとフィールドスタディに参加できる国や地域はリソースが潤沢にあるところに限らざるをえなかった.一方,ICD-11のフィールドスタディの実施が本格化した2010年代に状況は大きく様変わりしており,専門家同士の連携や調査研究へのインターネット活用が十分に現実味を帯びていた.
 そこで設立されたのが,GCPNである.後述のインターネットを用いたフィールドスタディに,評価者として参加してもらうため,WHO主導で各国の臨床家に本ネットワークへの参加を呼びかけた.GCPNに登録する際,臨床家は,職種(精神科医のほか,心理士や精神科看護師などの職種も広くメンタルヘルスの臨床家として登録することができる)や経験年数,専門領域などの情報提供を求められた.GCPNは,一義的にはメーリングリストのような役割を果たしたのだが,それに加えてデータ解析の際に上述のような変数も加味して解析できるという特徴も備えていた.
 GCPNがさらに発展して設立されたのがGCP.Network(https://gcp.network/jp/)というウェブサイトである.GCPNは当初,メーリングリストとしてフィールドスタディの参加者を募り,データ解析に寄与するという点では役割を果たしていた.一方で,登録者から協力を得る反対に,フィードバックや情報提供を登録者に対して行うという機能は実装していなかった.この欠点を補う目的で,ウェブサイトが立ち上げられた.このプラットフォームは,従来どおり臨床家としての背景情報を登録し,フィールドスタディへの参加を促しつつ,登録者が最新のガイドライン草案を閲覧したりフィールドスタディの結果について読んだりできるという機能を備えている.2018年11月現在,登録者数は14,700名を超え,ほぼすべての地域をカバーしている.なお,日本からも1,000名を超える参加者があった.
 改訂作業をとおし,多言語・多文化という観点は非常に重要視されてきた.そのため,GCP.Networkもアラブ語,英語,スペイン語,フランス語,日本語,中国語でアクセスや登録が可能になっている.これは後述する種々のフィールドスタディを多言語で展開するのに大きく貢献した.

2.Case-controlled field studiesとインターネットの活用
 上述のGCP.Networkというリソースもあり,ICD-11改訂に向けてはインターネットを活用したフィールドスタディが数多く行われた.インターネットを活用する利点としては,コストの削減と作業の効率化が挙げられる.従来の診断分類システムといえば,その草案がほぼ完成に近い段階で,信頼性を評価することが多かった.しかしそれでは,その段階からは草案の加筆修正は難しく,得られた結果を成果物に反映させる機会は事実上ないに等しかった.
 この反省から,ICD-11改訂に向けては,非常に早い段階からインターネットを活用してフィールドスタディが開始された.そのデザインとは,臨床家がビネットを読み,無作為に割りあてられたICD-10あるいはICD-11の診断ガイドラインを適用して診断をつける,というものである.ただし信頼性係数の算出だけを目的とせず,種々の診断要件(表出している症状,症状の持続期間など)についても,それらが症例にあてはまるかどうかを細やかに調査した点に,本調査研究のデザインの新しさがある.このデータをとることで,特に信頼性が低く出た診断カテゴリについては,診断ガイドラインの記述そのものを見直し,加筆修正を加えることができた.症例,つまりケースの特定の要素を統制し,刺激素材として用いたという意味で,これらのスタディはCase-controlled field studiesと呼ばれている.一連の調査研究の方法論的側面については,Keeley, J. W. らが詳しく述べている3)

3.Ecological implementation field studies
 インターネットとビネットを利用したデザインと比較して,実際の患者を対象とするデザインはさまざまなリソースを必要とする.そのため,実際の患者を対象としたフィールドスタディは,ICD-11に収載される数多くの診断のなかでも特に疾病負荷が高いとされるものを中心に行われた.実臨床,すなわち生態系(ecology)において施行する(implementation)という意味で,こちらの調査研究はecological implementation field studiesと呼ばれている.
 信頼性の検討にあたっては,評価者間信頼性を指標とした.すなわち,ICD-11についてトレーニングを受けた臨床家(世界各国での要件は,診断業務を行う資格を有し,経験年数2年以上で現在精神保健の臨床業務に携わっていること,日本では精神科医)2名が,同一の患者に対し同時に診断面接を行い,その情報をもとに同じ診断に行きつくかを検討した.主な結果はReed, G. M. ら8)が示したとおりである(表4).ICD-10と比較し,おおむね信頼性の値は高く,向上した診断カテゴリが多かった.なお,日本で行われた研究に協力してくださった医師のリストを第123巻第1号40頁の表に掲載した.
 有用性スタディについてはすでに論文でデータが公開され,全体的におおむね良好な結果が示された5)9).なお,日本の臨床的有用性の評価が他国に比べ低い結果となったが,この理由については今後データをさらに解析する予定である.

表4画像拡大

IV.考察
 WHO「精神保健および物質乱用部」は,疾病負荷の軽減を見据え,当初より臨床的有用性の向上を掲げて今回のICD改訂を行った.改訂作業の初期から臨床家の臨床感覚の反映と,多文化・多言語での改訂作業を一貫して行った点で,ICD-11の作成の過程は大変に意義のあるものである.ICDはしばしばDSMやそれに類する診断分類システムあるいは診断分類体系と比較されるが,ICDは低所得国から高所得国まで世界中で公衆衛生の目的で使用されるという性質上,強い影響力を有するDSMや,最新の知見を積極的に取り入れていく米国NIMHのRDoCやKrueger, R. F. らのHierarchical Taxonomy of Psychopathology4)とは,その用途も存在意義も異なる.今後,ICD-11が上述した疾病負荷の軽減にどれだけ貢献できるかは,どこまでICD-11が普及し,現場で使用されるかにかかっていると思われる.WHOは今後,ICD-11の普及にも力を入れていく予定であり,ICD-11が臨床場面で有用なツールとして受け入れられることが期待される.

おわりに
 当初,2014年の導入をめざしていたICD-11が,2019年5月の世界保健総会で承認された.2007年から始まったアドバイザリーグループ会議から12年が経過してようやく完成の日を迎えることができた.今後は日本でもICD-11の活用が進み,ひいてはWHOが掲げるとおり,疾病負荷が軽減されることを期待したい.

文献

1) American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed (DSM-5). American Psychiatric Publishing. Arlington, 2013 (日本精神神経学会 日本語版用語監修, 髙橋三郎, 大野 裕監訳: DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル. 医学書院, 東京, 2014)

2) First, M. B., Reed, G. M., Hyman, S. E., et al.: The development of the ICD-11 Clinical Descriptions and Diagnostic Guidelines for Mental and Behavioural Disorders. World Psychiatry, 14 (1); 82-90, 2015
Medline

3) Keeley, J. W., Reed, G. M., Roberts, M. C., et al.: Developing a science of clinical utility in diagnostic classification systems field study strategies for ICD-11 mental and behavioral disorders. Am Psychol, 71 (1); 3-16, 2016
Medline

4) Krueger, R. F., Markon, K. E.: Reinterpreting comorbidity: a model-based approach to understanding and classifying psychopathology. Annu Rev Clin Psychol, 2; 111-133, 2006
Medline

5) 丸田敏雅, 松本ちひろ: ICD-11の臨床的有益性と全体的構造. 日本社会精神医学会雑誌, 28 (2); 117-128, 2019

6) Reed, G. M.: Toward ICD-11: improving the clinical utility of WHO's International Classification of Mental Disorders. Prof Psychol Res Pr, 41 (6); 457-464, 2010

7) Reed, G. M., Roberts, M. C., Keeley, J., et al.: Mental health professionals' natural taxonomies of mental disorders: implications for the clinical utility of the ICD-11 and the DSM-5. J Clin Psychol, 69 (12); 1191-1212, 2013
Medline

8) Reed, G. M., Sharan, P., Rebello, T. J., et al.: The ICD-11 developmental field study of reliability of diagnoses of high-burden mental disorders: results among adult patients in mental health settings of 13 countries. World Psychiatry, 17 (2); 174-186, 2018
Medline

9) Reed, G., Keeley, J. W., Rebello, T. J., et al.: Clinical utility of ICD-11 diagnostic guidelines for high-burden mental disorders: results from mental health settings in 13 countries. World Psychiatry, 17 (3); 306-315, 2018
Medline

10) Roberts, M. C., Reed, G. M., Medina-Mora, M. E., et al.: A global clinicians' map of mental disorders to improve ICD-11: analysing meta-structure to enhance clinical utility. Int Rev Psychiatry, 24 (6); 578-590, 2012
Medline

11) World Health Organization: The ICD-10 Classification of Mental and Behavioural Disorders: Clinical Descriptions and Diagnostic Guidelines. World Health Organization, Geneva, 1992 (融 道男, 中根允文ほか監訳: ICD-10精神および行動の障害―臨床記述と診断ガイドライン―, 新訂版. 医学書院, 東京, 2005)

12) World Health Organization: ICD-11 for Mortality and Morbidity Statistics. 2018 (https://icd.who.int/browse11/l-m/en) (参照2018-11-14)

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