Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文全文

第122巻第6号

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特集 定型的な薬物療法に行き詰まったときの新たな治療戦略―難治性精神症状への挑戦―
治療抵抗性うつ病に対するニューロモデュレーションの可能性
野田 賀大
慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室精神病態生理学研究室
精神神経学雑誌 122: 456-462, 2020

 現在,本邦においてうつ病の診断を受けている患者数は約127万人と推計されており,精神科未受診の潜在的なうつ病患者も含めるとその数は約250万人にのぼるといわれている.さらにそのなかの約3割が薬物治療抵抗性であるといわれており,うつ病はまさに国民病になりつつある.そのなかでも重症度が高いうつ病患者に関しては精神科での本格的な入院治療が必要となってくるが,現在うつ病の精神科臨床で喫緊の課題になっているのは,重症度は軽症から中等症ではあるが,従来の治療ではなかなか症状が改善しない「治療抵抗性」を示す難治性かつ遷延型のうつ病である.そのような患者群に対する有望な治療法として,近年,反復経頭蓋磁気刺激療法をはじめとしたニューロモデュレーション治療が注目され,その可能性が期待されている.本稿では治療抵抗性うつ病に対するニューロモデュレーションの有用性について概説したい.

索引用語:治療抵抗性うつ病, ニューロモデュレーション, 反復経頭蓋磁気刺激療法, ディープ経頭蓋磁気刺激療法, 磁気けいれん療法>

はじめに
 うつ病人口の世界的な増加に伴い「治療抵抗性うつ病」に該当する患者数も年々増えてきている.ただし,「治療抵抗性うつ病」の定義が,臨床的にまだ曖昧であり,一定のコンセンサスが得られていないという問題があるため,本稿ではまず世界の先行研究10)を参考に治療抵抗性うつ病に関する妥当なラインを示す.治療抵抗性うつ病とは一般的には「6週間以上の十分な期間にわたり,2種類以上の異なる抗うつ薬を十分量使用しても,うつ症状が改善しないケース」を指すことが多い.本稿では,第115回日本精神神経学会学術総会にて「定型的な薬物療法に行き詰まったときの新たな治療戦略―難治性精神症状への挑戦―」と題するシンポジウムで著者が発表した内容をベースに「治療抵抗性うつ病に対するニューロモデュレーションの可能性」について概説する.

I.ニューロモデュレーションとは
 近年,中枢神経領域において「ニューロモデュレーション」という用語がしばしば使用されるが,ニューロモデュレーションとは,「神経に電気・磁気刺激あるいは薬剤を投与することで,神経活動を可逆的に調節し,その機能を修飾・改善させる治療法のこと」を指す4).ニューロモデュレーションは,定義としては埋め込み型デバイスなどの侵襲的な介入方法も含むが,通常,精神科領域では非埋め込み型の非侵襲的なアプローチを指すことが多い.特に精神科領域では,欧米を中心に,反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)やH-coilを用いたディープ経頭蓋磁気刺激療法(deep TMS)が徐々に臨床応用されており,重症例に対しては磁気けいれん療法(magnetic seizure therapy:MST)が臨床研究で使用されている.

II.rTMS治療
 rTMS治療に関して,本邦では2017年9月にNeuroStar TMS治療装置(Neuronetics, Inc.)が薬事承認を受け,2019年6月に保険収載された.さらに,2019年1月にBrainsway TMSシステム(Brainsway Ltd.)が薬事承認を得ている.その他,本邦において臨床研究として,磁気刺激装置マグプロシステム(MagVenture, Inc.)やMagstim TMS Therapy(Magstim Company Ltd.)などが使用されている.治療抵抗性うつ病患者に対する急性期rTMS全般の治療成績は,米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)承認の標準プロトコルを用いた場合,ベースライン時点のうつ症状スコアが半分以下に改善する反応率が約50%,寛解率が約30%といわれている18).また,認知機能に与える影響については,特に精神運動速度・視覚的走査能力・セットの切り替え能力をはじめとした認知機能が中等度改善する可能性が示されている15)
 うつ病に対するrTMSの適応については,薬物療法や心理療法に反応しない治療抵抗性うつ病が対象であり,薬物療法に関しては,現時点では,1種類以上の抗うつ薬を十分量・十分期間試しても無効な中等症以上のケースが望ましいとされる18).一方,精神病症状やカタトニア,切迫した希死念慮などを呈する緊急性のある状態は適応にはならない.このようなケースではむしろ,電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)を考慮すべきである.rTMSに関連した有害事象としては,しばしば認められるものに刺激部位の疼痛や刺激に伴う頭部・顔面の筋収縮による違和感,刺激に伴う振動による歯痛などがある.非常に稀な副作用として,0.1%未満の頻度でけいれん発作や軽躁転が報告されている18)

III.うつ病に対するrTMSの臨床的有用性
 うつ病に対するrTMSの治療効果について,Slotema, C. W.らは,34件のランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)における治療前後のデータからeffect sizeを算出し,さらに6件のECT研究と比較したメタ解析を行った.Slotemaらの研究によると,シャム刺激群と比較した際のrTMSのeffect sizeは,0.55(P<0.001)であり,ECTとの比較では,rTMSの相対的なeffect sizeが-0.47(P=0.004)を示した21)
 さらに,うつ病に対するrTMSとECTの有効性と忍容性について,Chen, J. J.らが比較検証したシステマティックレビューとメタ解析(25件の研究:うつ病患者1,288人)では,次のような結果が示されている.ECTは,両側rTMS,低頻度右側rTMS,高頻度左側rTMSと比べ,統計学的に有意ではないものの,より高い有効性を示した.左側前頭前野rTMSは,他のモダリティ(ECT,両側rTMS,右側rTMS)と比べ,統計学的に有意ではなかったが,より高い有効性は認められなかった.忍容性に関しては,統計学的に有意ではないものの,右側rTMSはECTや両側rTMS,左側rTMSと比べ,忍容性がより高い結果であった.累積確率による評価では,ECTが最も有効な治療法であり(ECT:65%,両側rTMS:25%,右側rTMS:8%,左側rTMS:2%),右側rTMSが最も忍容性が高い治療法であった(右側rTMS:52%,両側rTMS:17%,左側rTMS:16%,ECT:14%)5)
 rTMSの各種プロトコルにおける臨床効果については,Brunoni, A. R.らがうつ病に対する急性期rTMS治療のネットワーク・メタ解析(臨床研究81件:うつ病患者4,233人,女性59.1%,平均年齢46歳)を実施し,次のような結果を示している3).反応率に関するネットワーク・メタ解析では,シャム刺激に対するオッズ比は,両側rTMS〔オッズ比(odds ratio:OR):3.96,95%信頼区間(confidence interval:CI):2.37-6.60〕,左高頻度rTMS(OR 3.07,95%CI 2.24~4.21),シーターバーストrTMS(OR:2.54,95%CI:1.07~6.05),右低頻度rTMS(OR:2.37,95%CI:1.52~3.68),一方,忍容性についてはどの介入方法もシャム刺激と同様の受容率であった.

IV.rTMS以外のニューロモデュレーション治療も含めた臨床的有用性
 さらに,Mutz, J.らは最近,うつ病に対する急性期治療としてのニューロモデュレーションに関して,それぞれの有効性と忍容性を比較検証したシステマティックレビューとメタ解析を行っている19).同研究では,ECT,rTMS,accelerated TMS,priming TMS,deep TMS,synchronized TMS,シーターバースト刺激(theta burst stimulation:TBS),MST,経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation:tDCS),シャム刺激による介入試験を対象とした.主要評価項目は,反応(有効性)と治療の中止(受容性)とし,95%CIによるORで各介入を比較した.同研究には,合計113件の臨床試験(262本の治療アーム:患者6,750人:平均47.9歳,女性59%)が含まれ,対象疾患は組み入れ基準を満たした大うつ病性障害と双極性うつ病であった.ネットワーク・メタ解析の結果,18種類の治療介入内容のうち10種類が,シャム刺激介入と比べ,より高い治療反応と関連していた.具体的には,両側側頭ECT〔summary OR:8.91〕,高用量右片側ECT(OR:7.27),priming TMS(OR:6.02),MST(OR:5.55),両側rTMS(OR:4.92),両側TBS(OR:4.44),低頻度右側rTMS(OR:3.65),間欠的TBS(OR:3.20),高頻度左側rTMS(OR:3.17),tDCS(OR:2.65)による介入が,シャム刺激介入よりも高い反応を示した.アクティブ介入群同士のネットワーク・メタ解析では,両側側頭ECTと高用量右片側ECTがより高い治療反応と関連していた.なお,すべての治療介入において少なくともシャム刺激と同程度の受容性が認められた19)

V.前頭前野へのrTMS治療が各種精神疾患の認知機能に与える影響
 また,著者らは最近,rTMS治療が,うつ病・統合失調症・アルツハイマー型認知症の認知プロファイルに与える影響についてシステマティックレビューを行ったところ,31件の研究が組み入れ基準を満たし,うつ病を対象とした研究が15件,統合失調症が11件,アルツハイマー型認知症が5件であった.
 それらのなかで6件の研究で実行機能の改善を示し,認知機能に関する有害事象を報告している研究は皆無であった.同研究では,先行研究における,認知機能検査の種類,rTMS刺激パラメータ,被験者の異質性が,一貫した結果を示す際の限界になってはいるものの,それでもなお,前頭前野に対するrTMS治療は特に一部のうつ病患者における実行機能や注意機能を改善させる可能性が示唆された.しかしながら,統合失調症やアルツハイマー型認知症に関しては,rTMS治療が認知機能に与える影響が研究によりさまざまであり,今後システマティックな認知機能評価を含めたさらなる臨床研究が必要であることが示された9)

VI.うつ病に対するTBS治療の有用性
 TBSはうつ病に対する新しいニューロモデュレーション治療の1つであり,従来のrTMSと比べ,ヒト脳のより生理的な脳波リズムを模倣して開発されたプロトコルである7)8).Berlim, M. T.らはうつ病に対するTBSを行った5件のRCT(うつ病患者221人)の治療成績に関して,ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)スコアの治療前後の変化,反応率,寛解率,脱落率を指標にメタ解析を行った1).その結果,HAM-Dスコアの治療前後の変化に対するpooled Hedges’gは1.0(P=0.003)であり,TBS治療はシャム刺激と比べ,有意に大きな有効性を示した.さらに,TBSはシャム刺激と比べ,より高い反応率(TBS群:35.6% vs. シャム群:17.5%,P=0.005)を示す一方で,脱落率(TBS群:4.2% vs. シャム群:7.8%,P=0.5)は両群の間で同等であることが明らかとなった.サブグループ解析では,TBSプロトコルのなかでも,特に両側TBSと片側間欠的TBSが最も有望なプロトコルである可能性が示された1)

VII.TBS治療とrTMS治療の有用性についての比較検証試験
 従来のFDA承認の高頻度左側rTMS治療プロトコルは1セッションあたり37.5分かかる一方,新規のTBS治療プロトコルは1セッションあたり3分で終了する.したがって,治療者と被験者の時間的負担は両治療介入の間で大きな違いがある.治療効率および治療者や治療器のロジスティクスを考慮するとTBSのほうが断然合理的な介入方法であることがわかる.そこで,うつ病に対するTBS治療がシャム刺激と比べ有用であることは上記メタ解析結果からも示唆されていたが,TBS治療と従来のrTMS治療の有用性(有効性・安全性・忍容性)について比較検証している臨床研究がなかったため,トロント大学精神科Centre for Addiction and Mental Healthの主任研究員のBlumberger, D. M.らが中心となってtheta burst versus high-frequency repetitive transcranial magnetic stimulation in patients with depression(THREE-D)studyを実施し,以下の結果を得た2).ちなみに,著者も同研究グループの治療者メンバーとして参画し,研究を遂行した.本臨床研究は,カナダの学術研究機関にて多施設無作為非劣性試験として実施された.被験者は18~65歳で治療抵抗性うつ病患者あるいは最低2種類以上の抗うつ薬に不耐性を示した患者が対象となり,さらに4週間以上安定した抗うつ薬治療を受け,HAM-D17スコアにて18点以上を示す患者が組み入れられた.被験者は左側背外側前頭前野に対する10 Hz-rTMSと間欠的TBSが1:1で無作為に割り当てられ,計20~30回のTMS介入を行った.被験者に対して治療内容はオープンラベルであるが,研究者と評価者に対してはブラインド性を維持した.主要評価項目はHAM-D17スコアの変化とし,非劣性性を証明するための両群間差マージンは2.25点とした.結果,205人が10 Hz-rTMS群,209人が間欠的TBS群に割り付けられ,最終的にそれぞれ192人(94%),193人(92%)が治療開始4~6週間後の主要評価項目の評価を受けた.10 Hz-rTMS群では,HAM-D17スコアが23.5点から13.4点に改善し,間欠的TBS群では,HAM-D17スコアが23.6点から13.4点に改善し,間欠的TBSによる有効性に関して非劣性性が示された.TMSに関連した痛みに関して,間欠的TBS群はverbal analogue scaleで3.8であったのに対し,10 Hz-rTMS群では3.4を示し,間欠的TBSのほうが痛みを強く感じる結果となった.脱落率に関しては,両群ともに有意差はみられなかった〔10 Hz-rTMS:13(6%)/205人,間欠的TBS:16(8%)/209人,P=0.60).最もありふれた有害事象は両群ともに刺激中の頭痛であった〔10 Hz-rTMS:131(64%)/204人,間欠的TBS:136(65%)/208人).よって,治療抵抗性うつ病に対する間欠的TBS治療は従来のrTMS治療と比べ同等の有用性をもつことが示され2),本結果をもって2018年8月にFDAからうつ病に対するTBS治療が正式に承認された.

VIII.うつ病に対するTMS治療の反応性に関するtrajectories解析
 トロント大学精神科の同研究グループのKaster, T. S.らはTHREE-D studyデータから左前頭前野に対するrTMS治療の反応性に関するトラジェクトリー解析を行い,さらに治療反応性と関連するベースライン時点における臨床的特徴を同定した12).解析対象はrTMSあるいは間欠的TBSを受けた388人の治療抵抗性うつ病患者とした.HAM-D17スコアを指標としたgroup-based trajectory modelingによる治療反応性のトラジェクトリー解析では次の4つの軌跡が同定された.①非反応(N=43,11%);②急速反応(N=73,19%);ベースライン時点で重症の線形反応(N=118,30%);ベースライン時点で軽症の線形反応(N=154,40%).さらに,治療開始1週後の時点で各トラジェクトリー間の反応率と寛解率の有意な差異を検出できるという結果が得られた.また,治療プロトコルと治療反応性の軌跡との間には明らかな関連は認められなかった.特にベースライン時点でのHAM-D17スコア高得点やQIDS-SRスコア高得点は治療非反応の軌跡と関連し,高年齢やQIDS-SRスコア低得点やベンゾジアゼピン不使用は急速反応の軌跡に関連していた12)

IX.Deep TMSの臨床応用
 Deep TMSとはH-coilと呼ばれる特殊なヘルメット型のコイルを使用することによって,頭部表面から約4 cmの深さまで,脳を低侵襲で直接刺激することが可能なニューロモデュレーション技術である.現在までに異なる脳部位を刺激ターゲットとしたさまざまな種類のH-coilが開発されてきている.特にH1-coilは薬物治療抵抗性うつ病に対するニューロモデュレーション治療としてFDAに2013年1月に承認されている.
 Kasterらは老年期うつ病に対する高用量deep TMS(H1-coil,6012 pulses,18 Hz,120%RMT)の有効性,忍容性,認知機能に与える影響を評価するために,60~85歳の治療抵抗性うつ病患者を対象にRCTデザインで臨床研究を実施した11).ちなみに,H1-coilは背外側前頭前野と腹外側前頭前野が治療ターゲットになっている.なお,著者は本研究にも治療者メンバーとして参画し,同研究を遂行した.本研究の主要評価項目は治療企図解析(ITT解析)によるうつ病の寛解率とした.忍容性と認知機能への影響は有害事象に基づき評価した.52人の被験者が参加し,25人がアクティブdeep TMS群,27人がシャムH1-coil群に割り付けられた.結果,寛解率は,シャムH1-coil群と比べ,アクティブdeep TMS群のほうが有意に高く(アクティブ群40.0% vs. シャム群14.8%),治療必要数(NNT)は4.0(95%CI:2.1~56.5)であった.また,deep TMSは実行機能に対して何ら有害な影響をもたらさなかった.有害事象プロファイルは,アクティブ群における刺激時の頭痛(アクティブ群16.0% vs. シャム群0%)以外は,アクティブ群とシャム群との間で同等であった.本研究結果からは,老年期うつ病に対する高用量deep TMSは安全で忍容性が保たれている有効なニューロモデュレーション治療であることが示された11)

X.MSTの臨床応用
 MSTとはECTに代わる新たなニューロモデュレーション治療技術である.治療手技としてはECTと同様,全身麻酔下に治療的なけいれん発作を誘発させるが,ECTと比べ,抗うつ効果はほぼ同等である一方で認知機能に与える有害事象が非常に少ないという特徴がある13-17)
 著者らが以前,トロント大学精神科Centre for Addiction and Mental Healthに留学していた際に経験した,思春期の難治性双極性うつ病に対して世界で初めてMSTを実施し,治療に成功した例を報告する20).この症例は,治療抵抗性うつ病に対するオープンラベル試験(NCT01596608)6)に参加して,急性期MST治療を受けた.本研究のMST治療ではそれぞれのコイル中心をF3およびF4部位に適応させるツインコイルを使用した.MSTの出力パラメータは,100 Hzで100%機械出力を使用し,けいれん誘発の反応に応じて徐々に刺激時間を増加させるプロトコルを用いた.うつ症状はHAM-D24にて評価し,認知機能については包括的神経心理検査にて評価した.本症例は計18回の急性期MST治療により寛解に達し,その後11ヵ月にわたり安定的に経過した.認知機能に関しては,一部の自伝的記憶障害以外は,明らかな障害は認められなかった.本症例報告は,MST治療が思春期の難治性双極性うつ病に対して,安全で忍容性のある有効な治療である可能性を示した20)

おわりに
 本稿では,治療抵抗性うつ病を中心に,精神科領域における新たな治療戦略になりつつあるニューロモデュレーション治療を取り上げ,概説した.本邦でもこれらのニューロモデュレーション治療が通常の精神科臨床における治療選択肢の1つになる日が来ることを期待する.

 なお,本論文に関連して開示すべき利益相反はない.

文献

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