Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第126巻第3号

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特集 摂食障害を外来で効果的に治療する
摂食障害治療を日常生活から支援する―「生きる」ことと「活きる」こと―
武田 綾
特定非営利活動法人のびの会
精神神経学雑誌 126: 210-217, 2024
https://doi.org/10.57369/pnj.24-034

 身体への大きな侵襲をもたらす摂食障害は,身体管理の必要性から入院治療が選ばれやすい.しかし,退院後に患者は,発症の重要な要因であり,適応の困難をもたらした,家庭や学校,職場などの社会のなかに戻ることになる.したがって,本症の外来治療とは,医療的な介入を意識しつつも,患者が地域社会のなかで日常生活を営める主体的存在であることを気づかせ,その力を支持しながら,こうした心身の侵襲を招く,病的な解決方法以外のスキルの獲得を提案することである.特に,治療抵抗の強い難治例は経過が長く,すでに中高齢層に突入していることも多い.その治療目標は,疾患の理解と受容,症状との共存で,これらをふまえた生活の質の向上である.これは,一般の精神疾患患者の治療が,従来の入院や施設収容型の生活から地域社会での自立生活支援型に転じたことと同様である.そこで本症の慢性例に対し,われわれはこの自立支援型の包括型地域生活支援プログラム(ACT)を試みている.こうした学習と実体験の試行錯誤の繰り返しができる場所とシステムが,患者自らの主体性を保障しながら進める本症の外来治療の一端を担うと考えられる.

索引用語:摂食障害, 自立支援, 包括型地域生活支援プログラム, ソーシャルモデル>
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