Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第126巻第3号

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特集 摂食障害を外来で効果的に治療する
身体合併症の治療と精神面の治療のバランス―摂食障害支援ネットワーク活動の目的とその内容―
河合 啓介1)2), 山本 ゆりえ2)3)
1)国立国際医療研究センター国府台病院心療内科
2)千葉県摂食障害支援拠点病院
3)国立国際医療研究センター国府台病院薬剤部
精神神経学雑誌 126: 195-201, 2024
https://doi.org/10.57369/pnj.24-032

 神経性やせ症の治療では,精神療法に加え,身体合併症の治療が必要になる.われわれは,厚生労働省より指定され,2017年より千葉県の摂食障害支援拠点病院(以下,支援拠点病院)活動を,さらに2022年より摂食障害全国支援センター「相談ほっとライン」(以下,ほっとライン)活動を行っている.その事業内容は,地域連携支援体制の構築と当事者・家族からの電話やメールでの無料相談である.拠点病院活動の開始時に千葉県内すべての内科,心療内科,精神科,産婦人科,小児科などの3,137施設へ医療連携のためのアンケートを実施した.その結果,1)現時点ではBMI:15 kg/m2未満の患者の診療は当面は総合病院心療内科・総合病院精神科が対応する,2)精神科は身体科による血液検査,輸液などの栄養療法,心電図,レントゲン検査のサポートが必要,3)身体科は専門的な精神療法を精神科・心療内科に希望していることなどが明らかになった.われわれはこれらに対するマニュアルを作成して無料配布した.さらに千葉県摂食障害研究会を立ち上げ,症例検討を介して医療連携を推進した.拠点病院活動での相談件数は月平均65.0件,その内容は受診先相談が36%と最も多く,疾患相談27%が続いていた.相談者は母親が44%で本人からの相談が30%であった.このような活動を通じて,千葉県では基幹病院(国府台病院)への紹介割合は,2017年度の94%から2021年度は19%に減少し,専門的な治療を行っている県内の施設への紹介割合が増加した.ほっとライン活動では,相談内容や相談者は千葉県の拠点病院活動の結果と同様の結果であった.拠点病院が設置されていない人口の多い都道府県在住者からの相談が多かった.

索引用語:摂食障害, 身体的合併症, 外来治療, 摂食障害相談ほっとライン, 支援ネットワーク>
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