Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第126巻第3号

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症例報告
右片側性電気けいれん療法においてパルス幅延長による発作増強が有効であった1例―発作誘発が著しく困難な症例の治療経験―
菅原 聡真, 川島 啓嗣, 藤原 広臨, 村井 俊哉, 諏訪 太朗
京都大学医学部附属病院精神科神経科
精神神経学雑誌 126: 177-185, 2024
https://doi.org/10.57369/pnj.24-030
受理日:2023年11月4日

 電気けいれん療法(ECT)において治療効果を得るためには,頭部への電気刺激により,適切な発作を誘発する必要がある.しかし,パルス波治療器の最大出力を用いても発作が誘発されない症例も少なからず存在しており,そのような発作誘発困難例への対応は重要な臨床的課題となっている.右片側性(RUL)ECTは,認知機能障害を低減する手法として知られるが,発作閾値が低いという特徴を併せもつことから,発作誘発困難例においてRUL ECTへの切り替えが有用な可能性がある.また,刺激電流のパルス幅延長は,より広範な脳部位を脱分極させることができる可能性があり,実際に両側性(BL)ECTで発作増強に成功した報告がある.われわれはBL ECTで最大出力の刺激を行っても発作が誘発されなかった重症うつ病の1例に対して,RUL ECTへの切り替えとパルス幅延長を組み合わせることで適切な発作の誘発に成功し,症状の寛解を得たため報告する.RUL ECTと刺激電流のパルス幅延長の併用は発作誘発困難例に対する有望な発作増強法となる可能性があり,症例の個別性を考慮に入れたうえでさらなる効果の検証が望まれる.

索引用語:電気けいれん療法, 発作閾値, パルス幅, 右片側刺激, 増強療法>
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