Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第125巻第9号

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資料
全国の精神科の医療施設名・診療科目名に関する調査
小阪 成洋
日本福祉大学スポーツ科学部
精神神経学雑誌 125: 753-761, 2023
https://doi.org/10.57369/pnj.23-107
受理日:2023年4月12日

 【目的】本調査は,精神科診療所・精神科病院(以下,精神科医療施設)の名称について頻出の言葉を明らかにすること,および精神科医療施設が掲げる診療科目のうち頻出のものを明らかにすることを目的とした.【方法】全国の精神科医療施設の施設名・診療科目を収集してデータベース化し,施設名として出現する言葉および診療科目の多寡について検証した.また,比較対象を耳鼻咽喉科診療所とした.【結果・考察】耳鼻咽喉科診療所が「耳鼻咽喉科(耳鼻科)」を診療所名に掲げている割合が77.7%と高かったのに対して,精神科診療所が「精神科」を診療所名に掲げている割合は0.2%と極端に低かった.代わりに目立ったのが,「メンタル」(17.0%),「こころ」(10.3%)であり,これらの言葉は,精神科診療所が「精神科」を名称に掲げる代替手段として機能していると考えられた.精神科病院については「精神科」を病院名に掲げている割合は0.6%と低く,さらに「メンタル」(0.7%)や「こころ」(3.2%)の占める割合も低かった.そのため,精神科病院は,名称のみをみただけでは一般的な病院と区別がつきにくい傾向があるといえよう.精神科医療施設において標榜されている診療科目は,精神科,心療内科,内科が第1~3位を占めていた.【総括】精神科医療施設においては「精神科」という言葉は施設名として掲げられていない様子がうかがわれた.また,診療科目としては「心療内科」をあわせて標榜することによって,患者を含め世間一般の印象に配慮している様子がうかがわれた.「精神科」の抱えるスティグマは,調査結果に大きく影響した可能性がある.啓発活動などにより,「精神科」のスティグマが軽減される未来を展望したい.

索引用語:精神科, 医療広告, 診療科目, スティグマ>
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