Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第125巻第8号

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特集 精神障がい者の就労支援はどうあるべきか―IPS個別就労支援からの学び―
日本におけるIPSの活用と実践―福祉事業所と精神科デイケアでの実践例―
吉村 優作1), 池田 真砂子2)
1)公益財団法人慈圭会慈圭病院
2)一般社団法人ルンアルン
精神神経学雑誌 125: 688-695, 2023
https://doi.org/10.57369/pnj.23-097

 1990年代に米国で開発されたplace-train modelに基づいた就労支援であるIPS(Individual Placement and Support:個別就労支援プログラム)は,当事者の希望を尊重し,早期の就職,そして就職した場での訓練と継続的な定着支援を行うリカバリー志向の援助付き雇用モデルである.IPSが日本に導入されて10年以上経つが,日本ではまだ十分に普及しているとは言い難く,IPS型の支援を受けられる地域は限られている.その背景には,障害福祉サービスや診療報酬上の制約によるところも大きい.本稿ではそのような状況のなか,工夫しながらIPS型の支援を行っている福祉事業所の実践例と,精神科病院デイケアでplace-train modelの就労支援を取り入れている例を紹介する.IPSを高い再現度(high fidelity)で実施することでより良好な転機につながることがわかっている.しかしその一方で,それぞれの地域の実情や事業所,医療機関の状況に合わせた柔軟な運用で実施可能性を高めることも大切である.重要なことは,当事者の希望,好みに沿い,当事者自身が決めた目標に向かうプロセスを伴走するリカバリー志向の就労支援を柔軟に提供できることである.居住している地域によらず,誰もがIPS型の支援を受けられる状況になることが望まれる.

索引用語:IPS, 就労支援, リカバリー, 援助付き雇用, 精神科デイケア>
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