Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第125巻第7号

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特集 いま周産期メンタルヘルスで注目されていることを考える
精神科医が日常臨床で行うことができるプレコンセプションケア
根本 清貴1), 菊地 紗耶2)
1)筑波大学医学医療系精神医学
2)東北大学病院精神科
精神神経学雑誌 125: 601-606, 2023
https://doi.org/10.57369/pnj.23-085

 プレコンセプションケアとは,女性やカップルを対象とした将来の妊娠のための健康管理を促す取り組みを指す.精神科領域におけるプレコンセプションケアは,精神疾患を有する女性が,将来安心して妊娠できるための取り組みである.本稿では精神科医が日常臨床において行うことのできる2つの事柄をとりあげる.まず大事なことは生活習慣を見直すことである.適正体重をキープする,禁煙する,アルコールを控える,バランスの良い食事をこころがける,ストレスをためこまない,といったことはいずれもより健康な児を迎えることができる事柄である.その次に向精神薬の調整である.抗精神病薬,抗うつ薬は催奇形性や児の発達に影響を与えないことが示されている.これらの知見は単剤の場合であることから,できるだけ薬剤をシンプルにするように心がける.なお,バルプロ酸は催奇形性のリスクを高め,児の発達にも影響を与えることから妊娠可能性のある女性には処方すべきでないと考えられる.炭酸リチウムも注意が必要であるが用量依存性であり,600 mg/日未満ではリスクが高まらないことが知られてきている.これらの事柄を患者・家族と共有し,将来の妊娠について話し合うことにより,患者・家族は安心して妊娠に臨むことができるだろう.

索引用語:プレコンセプションケア, 妊娠, 催奇形性, 共同意思決定>
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