Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第125巻第7号

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特集 いま周産期メンタルヘルスで注目されていることを考える
周産期メンタルヘルスにおける総合病院でできる多職種連携―精神科医の視点から―
辻野 尚久1), 田久保 陽司1)2), 吹谷 和代1), 相川 祐里1)
1)済生会横浜市東部病院精神科
2)東邦大学医学部精神神経医学講座
精神神経学雑誌 125: 587-593, 2023
https://doi.org/10.57369/pnj.23-083

 周産期においてメンタルヘルスの不調をきたす要因は多岐にわたり,それらの要因に対応するためには,精神科医だけでなく,産婦人科医や小児科医,看護師,心理師,薬剤師,ソーシャルワーカーなどの多職種ならびに地域の関係機関との連携が必須となる.いわゆる総合病院では,多職種があらかじめ配置されており,より連携がとりやすい土台はあるものの,多職種をシステマティックに連動させ,早期から介入していくことは決して容易なことではない.多職種が円滑に連携していくうえで,ガイドラインを有効に活用していくことが望まれる.また,妊娠中や新生児がいることで移動や時間的な制約が生じ,当事者が医療機関や地域の保健機関にアクセスしようとしても行動が制限されてしまうことがある.さらに近年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大が,その障壁をより高くしている.著者らによる調査研究の結果から,COVID-19拡大後における産後女性の不安や自傷念慮の悪化が明らかにされた.感染対策もしながら必要な支援によりアクセスしやすくするためにはWEBシステムの活用などが検討されるべきであるが,支援者側の体制の構築だけでは不十分であり,当事者やその家族が能動的に適切な支援機関を探し,つながっていく取り組みも必要である.本稿では,周産期メンタルヘルスにかかわる種々の問題に対応していくことをめざした当院での多職種連携チームであるペアレンティング・サポート委員会の取り組みについて紹介する.

索引用語:周産期, メンタルヘルス, 多職種連携, ガイドライン>
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