Schneider, K. の『臨床精神病理学』はハイデルベルク学派の思想の集大成である.本書はSchneiderの教科書と呼ばれることがあるが,Jaspers, K. の『精神病理学原論・総論』のような精神病理学についての網羅的内容ではなく,診断学と分類についての論文集である.科学技術の進歩した今日においてもなお本書に重要な意義を見出すことができるのは,精神医学と身体医学との本質的な違いを見失うことなく,臨床精神病理学を論じているところにある.本論文では,Schneiderの生涯,本書の歴史,ここに含まれる各論文の注目すべきポイント,本書がなぜ米国で浸透しなかったのか,そして今日的な意義の順に論ずる.
Kurt Schneiderの「臨床精神病理学」
聖マリアンナ医科大学神経精神科
精神神経学雑誌
125:
158-166, 2023
https://doi.org/10.57369/pnj.23-021
https://doi.org/10.57369/pnj.23-021
<索引用語:Kurt Schneider, 臨床精神病理学, 分類, 診断学, ハイデルベルク学派>