Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第125巻第11号

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特集 コロナ禍の自殺の増加について
コロナ禍での女性の自殺の増加について―2021年までを振りかえって―
八木 淳子1)2)
1)岩手医科大学医学部神経精神科学講座
2)岩手医科大学附属病院児童精神科
精神神経学雑誌 125: 959-965, 2023
https://doi.org/10.57369/pnj.23-136

 COVID-19の感染拡大による災厄を表す言葉「コロナ禍」が世間に浸透してきた2020年後半,日本の自殺者数は前年を大きく上回り,特に女性と子どもの自殺が大幅に増加した.2021年の自殺者数もコロナ禍以前との比較においては増加傾向が続いている.特に,コロナ禍における女性の自殺者の増加は顕著で,これまでの災害後や経済不況下の状況とは異なる動きがみられ,社会構造に潜む性差や根深い不平等の問題と関連があると考えられる.従来,男性に比して女性の自殺率が低く抑えられているのは,女性ならではの他者とのコミュニケーションによるストレスの軽減効果によるとされてきたが,コロナ禍では感染予防対策や非正規雇用の雇い止めなどにより,女性がより孤独を感じやすい状況にあると考えられる.感染対策に加え,より適切な経済政策,社会的弱者への支援の拡充が求められる.

索引用語:COVID-19, 女性の自殺, 非正規雇用, DV, ステイホーム>
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