Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第125巻第11号

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原著
精神科で本当に必要な薬は何か?―精神科領域の安定確保医薬品に関する意識調査―
稲垣 中1)2), 橋本 亮太3), 稲田 健4), 坪井 貴嗣5), 三島 和夫6), 小路 純央7)8), 齊尾 武郎9), 安田 由華3)10), 横井 優磨11), 小田 陽彦12), 加藤 正樹13), 岸田 郁子14), 岸本 泰士郎15), 齊藤 卓弥16), 冨田 哲17), 古郡 規雄18), 松尾 幸治19), 渡邊 衡一郎5), 木下 利彦13), 三木 和平20), 三野 進21), 三村 將22)
1)青山学院大学教育人間科学部
2)青山学院大学保健管理センター
3)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神疾患病態研究部
4)北里大学医学部精神科学
5)杏林大学医学部精神神経科学教室
6)秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座
7)久留米大学高次脳疾患研究所
8)久留米大学医学部神経精神医学講座
9)SMBC日興證券人事部健康管理室
10)医療法人フォスター生きる育む輝くメンタルクリニック
11)国立精神・神経医療研究センター病院臨床研究・教育研修部門教育研修部
12)兵庫県立ひょうごこころの医療センター
13)関西医科大学医学部精神神経科学講座
14)清心会藤沢病院
15)慶應義塾大学医学部ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座
16)北海道大学大学病院児童思春期精神医学研究部門
17)弘前大学大学院医学研究科 神経精神医学講座
18)獨協医科大学精神神経医学講座
19)埼玉医科大学医学部精神医学
20)三木メンタルクリニック
21)みのクリニック
22)慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
精神神経学雑誌 125: 932-943, 2023
https://doi.org/10.57369/pnj.23-133
受理日:2023年7月29日

 近年,医薬品の安定供給に疑念を抱かせるような事例が多発するようになったため,2020年に厚生労働省は10種類の向精神薬を含めた506種類の安定確保医薬品を指定した.しかしながら,このときには時間的な制約から精神科のステークホルダー全体のコンセンサスに基づいて10種類の向精神薬を選定できず,少数のエキスパートたちのコンセンサスに基づいて決定せざるをえなかった.今回われわれは精神科医,薬剤師,当事者・家族を対象としたweb媒体のアンケート調査を実施したうえで,第118回日本精神神経学会学術総会の際に開催されたシンポジウムにおいてデルファイ法に準じた方法により精神科のステークホルダー全体を反映したコンセンサスの形成を試みた.アンケート調査の結果,精神科医,薬剤師,当事者・家族の大半が10種類の向精神薬を安定確保医薬品に指定することを容認していることが示された.また,デルファイ法に準じた方法による意見集約の結果,リスペリドン,アリピプラゾール,オランザピン,クエチアピン,ミルタザピン,エスシタロプラム,バルプロ酸ナトリウム,炭酸リチウム,ロラゼパム,レンボレキサントの10種類の向精神薬がより妥当な安定確保医薬品として選択された.

索引用語:向精神薬, 安定確保, アンケート調査, コンセンサス調査>
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