Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第125巻第10号

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連載 21世紀の「精神医学の基本問題」 ― 精神医学古典シリーズ
Lacanと今日の精神科臨床―精神の不思議について考える―
鈴木 國文
生生会松蔭病院
精神神経学雑誌 125: 899-909, 2023
https://doi.org/10.57369/pnj.23-127

 Lacan理論を概観し,今日の精神科医療に寄与するいくつかの点について論じた.また,精神の不思議さ(必ずしも病的な不思議さだけでなく,正常の精神の活動に認められる不思議も)の質に着目することが精神の病理を考察するうえでは欠かせないことを強調した.統合失調症について論ずるなかで,Lacan, J. の論ずるシニフィアンの優位の意味にふれ,「了解不能」と呼ばれる病態について論じた.心因性の病態,特に「神経症」について,心因理論の二節性,および事後性という点から論じた.そして,「了解可能」な病態とはどのようなものかにふれた.最後に,今日,ラカニアンの間で自閉スペクトラム症(ASD)についてどのような議論がなされているかを紹介し,ASDの病理が前述の二病態の病理とどの点で異なるかを論じた.

索引用語:ラカン, シニフィアン, 統合失調症, 神経症, 自閉スペクトラム症>
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