Advertisement第119回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第124巻第2号

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原著
統合失調症患者の麻痺性イレウスと向精神薬・下剤の関係
稲熊 徳也1), 灘谷 聡昭2), 池本 正平3), 井藤 佳恵4)
1)東京都立松沢病院精神科
2)東京都立松沢病院薬剤科
3)東京都立松沢病院内科
4)東京都立健康長寿医療センター認知症支援推進センター
精神神経学雑誌 124: 84-90, 2022
受理日:2021年10月6日

 統合失調症患者は便秘症になりやすく,下剤の使用頻度が高い.その主な原因は向精神薬の副作用にあると考えられている.便秘症は重症化すれば麻痺性イレウスに発展し,さらに,腸管虚血,腸管穿孔に進行すれば死に至る例もある.統合失調症患者の麻痺性イレウスに関する症例報告は多く存在するが,リスク因子研究は多くなく,十分とはいえない.そこで,本研究の目的は,統合失調症患者の麻痺性イレウスと向精神薬・下剤との関連を明らかにすることにある.2014年11月から2019年10月までの5年間に,当院に入院した統合失調症患者全例を後方視的に調査した.統合失調症患者3,775名のうち,25名が麻痺性イレウスと診断された.多変量解析では,麻痺性イレウスの発症には,clozapineの使用(OR 71.815;95%CI 12.838~401.733;P<0.001),magnesium oxideの使用(OR 3.536;95%CI 1.544~8.099;P=0.003),haloperidolの使用(OR 3.079;95%CI 1.192~7.954;P=0.020),sennosideの使用(OR 2.376;95%CI 1.048~5.388;P=0.038),年齢が高いこと(OR 1.053;95%CI 1.023~1.084;P=0.001)がそれぞれ独立に関連していた.統合失調症患者において,高齢者や,clozapine,haloperidol,下剤を使用している者は麻痺性イレウスの発症に注意が必要である.

索引用語:統合失調症, イレウス, 抗精神病薬, 下剤>
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