Advertisement第115回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第4号

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教育講演
第114回日本精神神経学会学術総会
精神科臨床におけるスポーツの可能性
岡村 武彦
特定医療法人大阪精神医学研究所新阿武山病院
精神神経学雑誌 121: 306-312, 2019

 精神科医療の現場におけるスポーツは,当初は単に症状の改善や体力の回復などが目的であったものが,就労・就学など社会参加促進を含めたリカバリーをめざすことも目的となってきており,入院患者のレクレーションスポーツから次第に地域主体の競技性を伴ったものへと移行するようになった.現在は,バレーボール,フットサル,バスケットボールなどが精神障がい者スポーツとして行われており,特にフットサルは,全国大会のみならず国際大会まで開催されている.リカバリーには症候学的寛解や就労・就学など医療者側が考える客観的要素に加え,個人的な自信や希望,目標・成功志向など患者の主観的要素も必要となり,これらは相互に関係し合っているといわれている.スポーツは,このリカバリーの条件を満たすためにどの程度役割を果たしているかはまだ明らかではないが,不安・うつなどの症状や認知機能の改善,QOL・自尊感情の向上,自己管理能力の向上,再発・再燃の防止,就労,スティグマの軽減などとの関連が期待されている.また,スポーツは仲間が集まる場を提供し,リカバリーを体験している人たちとの交流を実現し,仲間,家族,支援者との関係性のなかで希望を見いだしリカバリーに向かうことを可能にするのではないかと思われる.文化としてのスポーツのめざすものは,リカバリーの概念と重なるところが多く,精神科医療において大いに可能性があると思われる.一方でその活動の歴史はまだ浅く,科学的・客観的効果の学術的検討や専門の知識をもった医療スタッフの育成の必要性,資金的な問題など課題も多く存在する.

索引用語:スポーツ, 精神障害, リカバリー, レジリエンス, アンチスティグマ>
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