Advertisement第115回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第4号

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原著
近赤外分光法(NIRS)を用いたうつ病の治療転帰と前頭前野機能との関連についての縦断的検討
岩山 孝幸1), 松永 美希2), 鍋田 恭孝3), 片山 信吾3)
1)立教大学大学院現代心理学研究科
2)立教大学現代心理学部
3)青山渋谷メディカルクリニック
精神神経学雑誌 121: 259-273, 2019
受理日:2018年11月29日

 【目的】近赤外分光法(NIRS)は簡便な脳機能画像法として注目されているが,抑うつ症状と前頭前野所見との関連を縦断的に検討したものは少ない.本研究では,精神科外来に通院するうつ病患者を対象にNIRS測定を縦断的に行い,治療転帰と前頭前野機能の変化との関連を検討することを目的とした.【方法】精神科外来に通院するうつ病患者を対象に,約2ヵ月の間隔を空けた前後の時点(Time 1,Time 2)でNIRS測定,抑うつ症状および心理社会的機能の評価を縦断的に行った.賦活課題には言語流暢性課題を用いた.前頭前野の関心領域を右側部・前頭極部・左側部とし,Time 1で抑うつ状態を呈していた全対象者のうち,Time 2の抑うつ状態の程度により非寛解群,部分寛解群に分け検討した.【結果】非寛解群においてTime 1からTime 2にかけて前頭極部領域における有意な平均賦活量の増加(P<0.05),および左側部領域における平均賦活量の低減の傾向がみられた(P<0.10).一方で,部分寛解群においてはTime 1からTime 2にかけての平均賦活量の有意な変化はみられなかった.さらに,非寛解群においてTime 1からTime 2にかけての抑うつ症状の変化と前頭極部領域における平均賦活量の変化に有意な正の相関(r=0.48,P<0.05),および左側部領域における平均賦活量の変化に有意傾向の負の相関がみられた(r=-0.45,P<0.10).一方で,部分寛解群においてはTime 1からTime 2にかけての抑うつ症状の変化と平均賦活量の変化に有意な相関はみられなかった.【考察】縦断研究の結果,抑うつ症状の遷延に関連する前頭前野機能の変化をNIRS測定により評価できる可能性が示唆された.今後は選別基準を厳格にし,関連変数も統制したうえでより詳細な検討を行うことが求められる.

索引用語:近赤外分光法(NIRS), うつ病, 前頭前野, 縦断研究, 治療転帰>
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