Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第3号

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総説
うつ病治療における薬物療法と精神療法の併用について再考する―脱中心化,経験学習理論,プラセボ効果の概念とともに―
佐渡 充洋
慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
精神神経学雑誌 121: 167-176, 2019

 うつ病の治療戦略は,歴史的に薬物療法と精神療法の間を行き来してきた.これまでの議論は,薬物療法か精神療法かという二元論での議論が優勢で,これらの一元的な議論はそれほど多くなかった.そこで,薬物療法と精神療法の一元的な議論が可能かどうかを検証するために,最初に両者の治療アウトカムについてのエビデンス,生物学的機序について概観した.生物学的機序については,抗うつ薬が扁桃体を直接的に抑制し,二次的に前頭皮質領域の機能改善を図るのに対して,認知行動療法では前頭皮質領域の機能改善が起き,これが扁桃体の過活動を抑制することが明らかとなった.次に併用療法における回復のメカニズムを心理的側面から理解するために,脱中心化,経験学習理論,プラセボ効果の概念を導入し,それらの観点からこれを議論した.その結果,併用療法においては,回復を縦断的かつ動的なプロセスと捉え,このプロセスを軸に薬物療法と精神療法の位置づけを検討することで,両者を一元的に考えることが可能であると考えられた.今後,特異的,非特異的それぞれの精神療法のどのような要素が効果に影響するのかといった研究が進むことでより効果的な併用療法のあり方が明らかになることが期待される.

索引用語:薬物療法, 精神療法, 脱中心化, 経験学習理論, プラセボ効果>
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