「チーム医療」という言葉は,現在,内容があたかも自明であるかのように使われている.本稿では,病院における入院生活そのものを治療的なものとし,患者の退院促進や地域移行への支援を促進するために,精神科病院の臨床において,「チーム医療」をどう運営することが望ましいかについて検討した.つまり多職種によるチーム医療が活きる病院をめざすという方向性,流れを作り保つための心理的機制を重視した患者への観点・チーム構成,システムとしての病院と統合機能,患者の改善が,つなぎめなく進展できる病棟内機能分化,所属別,疾患・課題別の治療プログラムの縦糸,横糸としての組み合わせについて述べた.こうした視点をもつことにより,病院を治療的な機能を有する1つの共同体として運営できる.患者が可能な限り少量の薬物使用のもとに精神科病院を「治療的な共同体」として経験できることは,地域を「自分を支えてくれる共同体」として捉え参加していくための,貴重な礎になると考える.
日本精神神経学会 多職種協働委員会 企画 第4回
精神科病院臨床と「チーム医療」
1)のぞえ総合心療病院
2)NTT東日本関東病院
2)NTT東日本関東病院
精神神経学雑誌
120:
436-444, 2018
<索引用語:多職種協働, 心理的機制, 病院システム, 機能分化, 治療共同体>