Advertisement第115回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第120巻第5号

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総説
自閉スペクトラム症の感覚の特徴
高橋 秀俊, 神尾 陽子
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所児童・思春期精神保健研究部
精神神経学雑誌 120: 369-383, 2018

 本総説では,自閉スペクトラム症(ASD)の感覚の特徴について,臨床での影響や評価法,支援法などに関する既往の文献を概観し,今後の研究の方向性について論じる.ASDの方の多くは非定型的な感覚の特徴を有すると考えられ,ASDの最初期の報告ですでに記述されていた.ASDの感覚の特徴に対する認識は近年高まっており,最近はASDの中核的な徴候の1つに含まれている.非定型的な感覚の特徴は患者や支援者を悩ませ,ASDで問題となる他の症状や行動にも影響する.年齢や自閉症の重症度は非定型的な感覚の特徴の重症度に影響し,6~9歳の児童期や自閉症の診断を有するもので,最も重篤であると報告されている.ASDの感覚の特徴は,親面接式自閉スペクトラム症評定尺度(PARS)や発達障害の特性別評価法(MSPA)といったASDに関する包括的評価尺度でも簡便にチェックできる.感覚プロファイルのように感覚の特徴に特化した評価尺度を用いれば,ASDの非定型的な感覚の特徴に関して,より多くの情報が得られる.ASDの感覚処理の神経生理学的指標は,診断や支援のモニタリングに有用なASDのバイオマーカーとして,非定型的な感覚の特徴の生物学的病態解明につながるであろう.ASDの感覚の特徴の問題への支援として,個々のニーズに合わせた環境調整や感覚統合療法などがある.これらの支援の有効性は経験的に知られているが,その効果を適切に評価するには,さらに研究が必要で,薬物療法など非定型的な感覚の特徴がもたらす問題の軽減のための他の方法も研究される必要がある.以上のように,非定型的な感覚の特徴は,ASDの研究デザインや臨床実践において考慮すべき重要な要素である.今後の研究は,ASDの病態解明に加え,有効な支援法に関しても新たな道を拓くであろう.

索引用語:自閉スペクトラム症, 感覚特徴, 感覚処理, 聴覚過敏, 驚愕反応>
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