児童虐待は年々増加している.虐待を受けた子どもへの心理的影響は大きく,家庭や学校などで不適応となり精神的なケアを必要とすることが多い.症状は継続的な場合もあり,大人になって精神症状を抱えることも多い.虐待を受けて親になった養育者は子育てのなかで自分の養育環境をふりかえらざるをえないことなどから,養育の困難さにつながることもある.また,精神疾患の養育者は,子どもの様子をうかがい子どもの調子にあわせて対応することなどが難しいことが多い.虐待を受けた子どもの精神面に対する治療や,養育者への精神疾患を考慮した支援体制が必要である.
小児総合病院の精神科医の立場からみた児童虐待
大阪母子医療センター子どものこころの診療科
精神神経学雑誌
119:
628-633, 2017
<索引用語:児童虐待, 心理的影響, 小児病院, 児童精神科>