Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第119巻第7号

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資料
うつ病に対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)治療の意識アンケート調査
髙橋 隼1), 鬼頭 伸輔2)3), 中村 元昭4)5), 篠崎 和弘1)
1)和歌山県立医科大学医学部神経精神医学教室
2)国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター病院精神先進医療科
3)杏林大学医学部精神神経科学教室
4)神奈川県立精神医療センター
5)昭和大学発達障害医療研究所
精神神経学雑誌 119: 472-484, 2017
受理日:2017年2月9日

 反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は低侵襲な中枢神経刺激療法として治療抵抗性うつ病に対する治療法の1つに発展しつつあり,本邦においても臨床応用に向けた取り組みが開始されている.そのようななか,精神科専門医のrTMS治療への関心と臨床応用の必要性や課題への意見を明らかにすることを目的に,日本精神神経学会ECT・rTMS等検討委員会にてアンケート調査が企画された.アンケート調査は日本精神神経学会精神科専門医制度研修施設(1,318施設)の責任者を対象とし,回収率は53.9%であった.rTMSへの関心については,回答施設の64.0%が医学雑誌からrTMSの情報を得たことがあり,rTMSについての情報を得たことがない施設は9.6%であった.うつ病に対するrTMS治療の臨床応用については,回答施設の60.3%が本邦においても臨床応用をめざした方がよいと回答し,臨床応用をめざす必要はないと回答した施設は4.8%であった.臨床応用に際しての問題として,回答施設の62.7%がrTMSの治療エビデンスの不足,56.0%が既存の治療法との適応の違いの不明瞭さ,50.2%,57.9%,51.2%がそれぞれrTMS機器の操作・手技,導入・運用に必要な経費・人員,採算性についての情報が不足していると回答した.さらに,回答施設の90.0%が学会による治療ガイドラインが必要,63.2%がトレーニングセミナーの体制整備が必要と回答した.本調査の結果から,精神科専門医はrTMSに一定の関心をもち,rTMS治療の臨床応用におおむね賛同していることが示されたが,一方で,臨床応用に際する問題点や治療ガイドライン,トレーニングセミナーの重要性を認識していることも明らかになった.本調査で得られた精神科専門医の意見を踏まえ,rTMS治療の適正,安全,有効な臨床応用をめざした取り組みを進めていく必要がある.

索引用語:うつ病, 精神科専門医, アンケート調査, 反復経頭蓋磁気刺激>
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