Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第119巻第2号

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資料
精神科研修医における燃え尽き症候群についての国際共同研究(BoSS International)―日本国内調査(BoSS Japan)の結果から―
館農 勝1)2), 加藤 隆弘3)4), 青山 久美5), 中野 和歌子6), 中前 貴7), 内田 直樹8), 橋本 直樹9), 菊地 紗耶10), 和気 洋介11), 藤澤 大介12), 猪狩 圭介3), 大塚 耕太郎13), 高橋 克昌14), 奥川 学15), 渡辺 範雄16), 白坂 知彦17), Nikolina Jovanovic18), Julian Beezhold19)
1)特定医療法人さっぽろ悠心の郷ときわ病院ときわこども発達センター
2)札幌医科大学医学部神経精神医学講座
3)九州大学大学院医学研究院精神病態医学
4)九州大学先端融合医療レドックスナビ研究拠点
5)横浜市立大学附属病院児童精神科
6)特定医療法人社団宗仁会博多筑紫口こころクリニック
7)京都府立医科大学大学院医学研究科精神機能病態学
8)医療法人すずらん会たろうクリニック
9)北海道大学大学院医学研究科精神医学分野
10)東北大学病院精神科
11)こころの医療たいようの丘ホスピタル
12)慶應義塾大学医学部精神・神経科
13)岩手医科大学神経精神科学講座
14)東京都立松沢病院
15)関西医科大学精神神経科
16)京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻健康増進・行動学分野
17)医療法人渓仁会手稲渓仁会病院精神保健科
18)Unit for Social and Community Psychiatry, WHO Collaborating Centre for Mental Health Service Development, Barts and The London School of Medicine and Dentistry, Queen Mary University of London
19)Norfolk and Suffolk NHS Foundation Trust, Norwich, UK University of East Anglia
精神神経学雑誌 119: 83-97, 2017
受理日:2016年10月12日

 【背景】燃え尽き症候群は,仕事上のストレスに曝された結果生じる心理的反応である.医師で発生率が高いとされるが,とりわけ,臨床経験が少ない研修医はリスクが高い.今回,精神科研修医の燃え尽き症候群に関する国際調査(BoSS)の日本データを解析し報告する.【方法】BoSSは欧州精神科研修医連合(EFPT)により企画され,欧州を中心に22の国・地域が参加した.各国の研究責任者が協力者を募り,その所属先に勤務する精神科研修医の同意を得た上で,メールアドレスのリストを作成し調査対象とした.データ収集は全てオンライン上で,匿名で行った.【結果】7,525名のうち1,980名が回答を完了し(回答率26.0%),日本からは95名(同41.5%)分のデータが得られた.平均31.8±4.8歳で,臨床経験は3.6±2.5年,男性が67.4%であった.勤務時間は72.3±27.1時間/週と参加国中最長で,指導医に相談する機会は2.9±4.4時間のみであった.Maslach Burnout Inventory(MBI)を用いて評価した結果,重度の燃え尽き症候群と定義した,疲弊感2.20以上,かつ,シニシズム2.00以上の者は42.0%であった.燃え尽き症候群の有無で比較したところ,ある群(n=41)では,うつ傾向を評価するPHQ-9スコアの高さと,指導医への相談時間の短さで有意差を認めた.【考察】全体データの解析では,若年者,長時間の勤務,指導医との相談機会の不足,一定勤務時間ごとの休憩の欠如などで,燃え尽き症候群との関連性が認められた.日本のデータでも,同様の傾向を認めた.研修医の燃え尽きは,研修からの脱落や医療事故の原因になる重要な問題である.研修医は燃え尽きリスクが高いことを認識し,指導医から声をかける機会を増やすことが予防につながる可能性が考えられた.

索引用語:燃え尽き症候群, 精神科研修医, 産業精神保健, 過重労働, うつ>
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