Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第8号

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特集 Pros and Cons 統合失調症における持効性注射剤の有用性
臨床研究デザインの限界に注目しながら持効性注射剤(LAI)の効果について検証する―LAI賛成の立場から―
岸本 泰士郎
慶應義塾大学医学部精神神経科学教室
Hofstra Northwell医科大学
精神神経学雑誌 118: 607-614, 2016

 本稿では,持効性抗精神病薬注射剤(LAI)の使用に賛成するという立場から治療効果,特に再発予防効果に関するエビデンスをまとめた.著者らが行った無作為化比較試験のメタ解析によると,LAIと経口抗精神病薬の再発予防効果は同等であったが,無作為化比較試験では,元来アドヒアランスが良好な患者が組み込まれ,内服が奨励される環境が提供されることから,LAIの優位性を証明しにくいという性質がある.一方で,LAIの導入前後のアウトカムを調査することでその導入効果を検証したミラーイメージ試験においては,LAIの導入に伴って入院のリスクや回数が大きく減少していた.ミラーイメージ試験は実臨床でLAIが使われている患者データの解析であり,実臨床での効果という観点からは,LAIの一定の有用性が示されている.アドヒアランスが保てない患者やLAIを希望する患者に対しては,LAIが治療選択肢として示されるべきであると考える.

索引用語:持効性抗精神病薬注射剤, 経口抗精神病薬, 再発, 無作為化比較試験, ミラーイメージ試験>
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