Advertisement第117回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第7号

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原著
強迫性障害に認められる「怒り」に関する研究―入院森田療法を行った40名を対象として―
川上 正憲1)2), 中山 和彦2)
1)那須高原病院精神神経科
2)東京慈恵会医科大学精神医学講座
精神神経学雑誌 118: 484-500, 2016
受理日:2015年12月24日

 今回,我々は,強迫性障害に認められる「怒り」に関する研究を行った.対象は,東京慈恵会医科大学森田療法センターに入院し,DSM-IV-TRを用いて強迫性障害(OCD)と診断され,入院森田療法を行った男女40名(20~58歳)である.SCID日本語版(DSM-IVに基づいたI軸診断,II軸診断),Y-BOCS(OCD重症度変化),「怒り」を指標とした「状態―特性怒り表現検査(STAXI-2)」,「不安」を指標とした「状態―特性不安検査(STAI)」を用いて統計学的手法による考察を行った.Y-BOCS総得点,強迫観念,強迫行為,洞察,回避の全てにおいて改善が認められた.以上より,入院森田療法によって,OCDの改善されていることが示された.STAIにおいては,状態不安,特性不安ともに改善が認められた.特性不安の改善は,ヒポコンドリー性基調の陶冶を示す一指標といえる.STAXI-2においては「怒り反応」「内的怒り表出」の改善が認められた.「怒り反応」「内的怒り表出」はいずれも強迫的スタイル(Salzman, L.)の一要素に相当する.よって,これらの改善が認められたことは,入院森田療法によって強迫的スタイルの一要素が改善していることが示された.OCD改善度と相関が認められたのは,洞察レベルであった.洞察不良は,入院森田療法の結果を不良とする因子であることが示された.また,2症例を提示し,入院森田療法におけるOCDおよび「怒り」に対する治療の実際を明らかにした.

索引用語:強迫性障害, 森田療法, 怒り, ナルシシズム, 強迫的スタイル>
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