Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第3号

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特集 抗うつ薬の適切な使用法をもう一度考えてみる
日本人うつ病患者における抗うつ薬の反応予測と使い分け
加藤 正樹
関西医科大学精神神経学教室
精神神経学雑誌 118: 139-146, 2016

 フルボキサミンが上市されたSSRI元年から17年が経過し,本邦でも数種類の新規抗うつ薬が臨床で使えるようになった現時点においても,3~4割程度の患者は十分な期間の治療でもよくならない.一般化されたうつ病全般のエビデンスだけでは対応できない患者に対して,そこを補うべく,患者背景,うつ症状の特質,遺伝的背景を知ることで,抗うつ薬の選択をより適切なものにできないだろうか? これまでに行われている抗うつ薬とうつ病の改善を検討したメタ解析には日本人を対象にした試験はほとんどなく,欧米人を対象にしたものが中心であるが,臨床的・社会的背景や薬物動態,遺伝子背景が異なる日本人でもその結果を参考にしてよいのだろうか? 本稿では,我々が日本人うつ病患者を対象に行ったうつ病個別化治療アルゴリズムの構築,すなわち“それぞれの患者での抗うつ薬の適切な使い分け”を目的とする一連のRCT研究,フルボキサミンvsパロキセチン,パロキセチンvsミルナシプラン,SSRI vsミルタザピンの結果を紹介し,日本人に適切なうつ病治療をどのように考えていけばよいのか,現時点で提案できる抗うつ薬の使い分けと治療反応予測の可能性について概説する.

索引用語:抗うつ薬, 予測, 早期反応性, 遺伝因子, 個別化治療>
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