Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第2号

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特集 オレンジプラン,中間年の検証,地域連携
認知症初期集中支援チームの課題―神戸市における経験―
前田 潔, 梶田 博之
神戸学院大学総合リハビリテーション学部
精神神経学雑誌 118: 84-90, 2016

 神戸市で平成25年9月から始められた認知症初期集中支援チーム(以下,支援チーム)の経験をまとめて報告した.またその経験から支援チームの課題について考察した.神戸市での経験では,対象者の年齢分布では85歳以上が最も多く,ついで80~84歳と高齢のものが多かった.対象者の70%近くは認知症高齢者の日常生活自立度IIaとIIbであり,Dementia Assessment Sheet in community-based integrated care System(DASC)の得点は90%以上が29点以上と,軽度~中程度認知症であった.認知症症状に気づかれてから支援チームが関与するまでの期間は1年以上が半数を占めていた.対象者の把握ルートは約半数が家族からで,居宅介護事業所の介護支援専門員からのものを合わせて80%近くであった.介護サービスについては,対象者の70%強に導入することができたが,認知症の鑑別診断は,鑑別診断が必要と考えられる対象者の半数にしか実施されなかった.課題として認知症症状が出現してから支援が開始されるまでの期間が長い,対象者の把握ルート,家族のいない独居高齢者への支援,地域包括支援センターの負担,認知症の診断を受ける困難さ,人材の確保,かかりつけ医との連携などが考えられた.早期に対象者を発見し,多職種が協働してアウトリーチ型の支援を行う支援チームは課題も多いが,その支援は認知症本人および家族にとって貴重なものであり,今後も継続されるべきであると考えられた.

索引用語:認知症初期集中支援チーム事業, 新オレンジプラン, 認知症の早期発見・早期対応, 神戸市, 地域包括支援センター>
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