Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第1号

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特集 各領域から考える自殺予防と精神保健―大学,病院,企業における現状と課題―
職場におけるメンタルヘルスと自殺対策―職業性ストレスと希死念慮に関する予備的調査を踏まえて―
阪上 優
京都大学国際交流センター
精神神経学雑誌 118: 34-39, 2016

 わが国の自殺率は,依然,国際的にみて高い水準で推移している.特に働き盛りの自死がもたらす社会的・経済的損失,家族の苦しみは計り知れない.自殺予防においては,自殺未遂群に対するケアも重要であるが,自殺念慮の段階での早期介入方法の確立が喫緊の課題である.一般的に,突発的な自死群に対する自殺予防対策は困難であるとされている.しかし,自殺未遂者の研究からは,これらの自死群においても,先行する,死に対する何らかの葛藤が示唆されている.それゆえ,希死念慮の段階での危険因子の検討は,介入困難群も含めた,広範囲の自殺予防につながる可能性を秘めている.本稿においては,まず,わが国の労働現場における,自殺に関連する精神保健のデータを概観し,その傾向について考察する.次に,中・長期休業者に対するパイロットスタディの結果を紹介し,今後取り組むべき課題について,検討を加える.特に,自死に対する念慮などを抱きながら,誰にも相談しなかった群はハイリスク群と考えられ,8割以上が男性であった.自殺に関する援助希求行動は,性差,年齢,社会的階層,スティグマ,地域特性など,多要因が関連していると推測され,対象群に即した,統合的かつきめ細かな自殺予防対策が必要である.真に自殺の少ない社会基盤を創出するためには,職場と社会をつなぐ要として,精神科医や精神保健の果たす役割は,今後,一層増大すると考える.

索引用語:自殺予防, 職業性ストレス, 精神保健, 職場, 希死念慮>
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