Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第118巻第1号

※会員以外の方で全文の閲覧をご希望される場合は、「電子書籍」にてご購入いただけます。
資料
過量服薬による致死性の高い精神科治療薬の同定―東京都監察医務院事例と処方データを用いた症例対照研究―
引地 和歌子1), 奥村 泰之2), 松本 俊彦3), 谷藤 隆信4), 鈴木 秀人1), 竹島 正3), 福永 龍繁1)
1)東京都監察医務院監察医室
2)一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構
3)国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所
4)東京都監察医務院検査科
精神神経学雑誌 118: 3-13, 2016
受理日:2015年10月2日

 過量服薬は公衆衛生上の重要な問題であり,死亡に至った事例もさまざまな分野から報告されている.本研究では,2009~2010年における東京都23区の医薬品の過量服用による死亡事例と東京都内の医療機関で処方された者を対象として,死亡事例の原因となった薬物と,処方された薬物との比較検討を行った.その結果,精神科にて処方された薬物が過量服薬による直接的な死亡原因となっていることが示唆され,さらに,過量服薬による死亡リスクが特に高い薬剤が,pentobarbital calcium,chlorpromazine-promethazine-phenobarbital,levomepromazine,flunitrazepamであることが明らかになった.以上より,これらの精神科治療薬の処方にあたっては,適応の慎重な検討および内服状況の確認が求められるといえる.本研究は医薬品の過量服用による死亡リスクの高い精神科治療薬を同定した,国内初の研究である.

索引用語:薬物中毒, バルビツール酸系薬剤, 睡眠薬, 自殺, 過量服薬>
Advertisement

ページの先頭へ

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology