Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第9号

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教育講演
第110回日本精神神経学会学術総会
製薬会社の説明会やパンフレットの使い方
南郷 栄秀
東京北医療センター総合診療科
精神神経学雑誌 117: 780-787, 2015

 製薬会社の説明会やパンフレットは医師の情報源として大きな位置を占める.多くの医師は製薬会社からの情報提供に基づいて診療している現状がある.製薬会社は営利企業であるため,より効果的に製品の特徴を宣伝するのは当然であるが,情報の受け手である医療者がそれを認識して情報を適切に読み取ることが大事である.製薬会社の情報提供には一定のパターンがある.生存曲線のグラフの縦軸を一部しか表示させないで,群間差が大きくみえるようにグラフの一部を拡大していることに注意が必要である.また,グラフの形が途中で変化しているものもある.効果の大きさは粗発症率,相対リスク,治療必要数など様々な指標で評価するべきである.複合エンドポイントは,それに含まれる個々のエンドポイントの発症率が小さく統計学的有意差が得られないために設定されたものと理解する.EBMはエビデンスから臨床判断するための方法論である.現場での判断の決定には,エビデンスのみならず,個々の患者の病状や周囲を取り巻く環境,患者の好みや行動,そして医療者の臨床経験も加味する必要がある.薬の効果についての情報を慎重に評価し,過剰でもなく過小でもなく効果の大きさを把握し,患者のために情報を役立てることが必要である.

索引用語:利益相反, 製薬会社, プロフェッショナリズム, EBM>
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