Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第9号

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特集 大人のADHDの診断はどのようにあるべきか?
大人のADHD臨床におけるパーソナリティ障害との鑑別をめぐって
牛島 定信
三田精神療法研究所
精神神経学雑誌 117: 775-779, 2015

 大人のADHDはパーソナリティ障害と診断されることが少なくない.その中で,ADHD患者がみせやすい覚醒剤問題,いわば反社会性パーソナリティ障害と拒食・過食,自傷行為などの衝動的行動をみせやすい境界性パーソナリティ障害とを取り上げ,若干の考察を行った.反社会的行動を示すADHDケースでは,反社会的人物に伴いやすいアウトローの世界に対する特有の関心,素行障害に伴いやすい狡猾さ,残酷さ,あるいは崩壊家族を認めることはない.一方,自傷行為などに走るケースでは,不安葛藤の中心は不注意,気うつり,落ち着かなさに伴うミスが生み出す自責感,自己卑下,自己嫌悪であり,境界性パーソナリティ障害のもつ人間的な対人葛藤や感情を欠いていることを指摘した.さらに,最後にADHDの基本症状を表面に出すケースでも,人間的な自己感覚,自我同一性形成に問題をもっている場合のあることも取り上げた.

索引用語:大人のADHD, 反社会性パーソナリティ障害, 境界性パーソナリティ障害, 同一性障害>
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