Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第9号

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特集 精神医学の未来を切り開く―大学院教育はこれでよいのか(II)―
大学院教育における学部教育の役割
松下 毅彦
広島大学医学部附属医学教育センター
精神神経学雑誌 117: 743-748, 2015

 近年の研修医は学位取得よりも専門医の取得をめざす傾向にあり,大学院生の確保のためにさまざまな試みがなされている.本稿では,大学院教育の前段階として学部教育が果たすべき役割を模索する.現在多くの大学で,学生を学内外の研究室に配属し研究を体験させるカリキュラムが採用されている.すべての学生に研究にふれる機会を与えるという点ではこのようなカリキュラムには大きなメリットがあるが,重要なのは,このような全員必修のカリキュラムで研究に接した学生の中から,特に研究に適性と意欲をもった学生を見つけ出すことである.このような学生を長期間にわたる研究実習などの選択制カリキュラムによって支持することで,卒業後の研究活動に連続的に導くことができると思われる.学部教育においては,学生に憧れをいだかせるようなよきロールモデルをみせることも重要である.学生は臨床実習で初めて医療現場を体験し,大学病院で医師として働く教員の姿をみる.実習で自分が憧れるロールモデルに出会うことができれば,それが目標となり,それに向かって進路を選ぶ.したがって,よき研究医のロールモデルを確保し,研究医としてのキャリアパスをきちんと学生に示せることが重要と考えられる.

索引用語:大学院, 学部教育, 医学研究実習, ロールモデル>
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