Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第117巻第3号

※会員以外の方で全文の閲覧をご希望される場合は、「電子書籍」にてご購入いただけます。
特集 高機能発達障害の職場における課題と精神科医療の取り組み
成人の発達障害専門外来とリワークプログラムにおける専門プログラム(Social Skill Renovation)の紹介
海老澤 尚
メディカルケア虎ノ門
精神神経学雑誌 117: 205-211, 2015

 当クリニックでは職場で「うつ」を発症し休職に至った患者を対象に,復職支援を目的としたデイケアプログラム(リワークプログラム)を実践してきたが,発達障害の特性を有し,その対策が「うつ」の治療・再燃防止に必須と考えられる症例に数多く遭遇した.そこで最近,発達障害の特性をもつ方を対象にした専門プログラム(SSR)を新たに併設するとともに,就労経験のある成人の軽度の発達障害を主な対象とした専門外来およびピアサポートグループも開設した.上記専門プログラム・専門外来の開始により,就労後に初めて発達障害の特性に起因する問題に気づかれた就労者が多く存在すること,および通常の外来・デイケアプログラムに通院する「うつ」の患者にも,発達障害またはその特性を有するが診断基準を満たさない診断閾下の発達障害が含まれていることが経験された.症状の改善,安定した就労の継続という臨床的目的を達成するには,患者の呈する発達障害の特性が診断基準を満たすか否かのみでなく,それがストレス要因や社会生活の障害になっていないか見極めることが有用と思われた.また,その特性プロフィールは患者によって異なり,したがって有効な支援・治療法も個別に検討することが重要と考えられた.

索引用語:発達障害, 成人, 自閉スペクトラム症, 復職支援デイケアプログラム, 専門外来>
Advertisement

ページの先頭へ

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology