Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第8号

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特集 日本精神神経学会が自殺対策に果たすべき役割とは
自殺対策における精神保健医療の役割―自殺総合対策大綱見直しを踏まえて―
竹島 正
(独)国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所自殺予防総合対策センター
精神神経学雑誌 116: 670-676, 2014

 自殺死亡急増後のわが国の取り組みは,第1期(1998~2005)の厚生労働省中心期,第2期(2005~2006)の自殺対策に政府全体で取り組むようになる転換期,第3期(2006~現在)の自殺対策基本法の公布以降の3つに分けることができる.第3期である2007年6月には,政府が推進すべき自殺対策の指針である自殺総合対策大綱が示され,自殺対策は地方自治体に広く普及していった.自殺総合対策大綱は,おおむね5年を目途に見直しを行うこととされており,2012年8月に新大綱が示された.新大綱は2007年以降の5年間の経験を踏まえて,地域レベルの実践的な取組を中心とする自殺対策へと転換を図っていく必要があると述べている.国立精神・神経医療研究センター(自殺予防総合対策センター)においては,新大綱の検討過程において,日本精神神経学会を含む29学会との協働により,大綱の見直しの提言を取りまとめた.そして,2013年2月には,大綱見直しの提言で生まれた学会などとの連携をさらに発展させ,わが国における自殺予防総合対策の推進に学術面から寄与することを目的として,「科学的根拠に基づく自殺予防総合対策推進コンソーシアム準備会」を設置した.WHOの動きとしては,2013年5月の第66回総会において「包括的メンタルヘルスアクションプラン2013-2020」が承認された.その中心原理は“No health without mental health(精神保健なしに健康はない)”であって,①精神保健における効果的なリーダーシップとガバナンスの強化,②地域を基盤にした,包括的で統合された,鋭敏に反応する精神保健と社会ケアサービスの提供,③精神健康増進と予防戦略の実施,④精神保健に資する情報システム,エビデンス,研究の強化という4つの目標を掲げ,③の数値目標には,自殺死亡率の低減も挙げられている.WHOはまた2014年9月の世界自殺予防デーに,はじめてのWorld Suicide Reportを刊行することとしている.今日,自殺予防は精神保健の重要な実践分野となっており,精神保健医療からの取り組みの発展と社会全体の取り組みへの統合が期待される.

索引用語:自殺予防, 精神保健医療, 自殺対策基本法, 包括的メンタルヘルスアクションプラン2013-2020, 世界自殺レポート>
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