Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第116巻第12号

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特集 周産期メンタルヘルスの国際標準化に向けて
英国周産期メンタルヘルスガイドラインの紹介―国内周産期メンタルヘルス機能の充実に向けて―
鈴木 利人
順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院メンタルクリニック
精神神経学雑誌 116: 982-989, 2014

 周産期メンタルヘルスには,精神科医や産婦人科医,小児科医だけではなく,看護師,助産師,薬剤師,臨床心理士,保健師,精神保健福祉士など多く職種の医療関係者がかかわっている.その機能の充実のためには,それぞれの職域での専門的教育や体制作りのほか,多職種間の医療連携が円滑に行われることも必要である.すなわち,向精神薬を服用中の女性患者の周産期の適切な管理,挙児を希望する女性患者への対応と妊娠相談,さらに産後の精神疾患の管理と授乳の可否,母子関係と養育において発生する諸問題に対して,適切に対応できるようにするためには,専門スタッフの要請と体制作りが期待される.周産期メンタルヘルスという医療的機能の不全は,その後の母子の健康,精神衛生,社会生活に大きな影響を与える.一方,英国ではNICEにより周産期メンタルヘルスを対象とした臨床ガイドライン(NICE Clinical Guideline 45)が作成され,周産期の精神科医療に関して重要な対応指針を提供している.周産期薬物療法に関しても,NICEガイドラインのほか,モーズレイ処方ガイドラインにより基本的な処方の指針が示されている.しかしながら,本邦の周産期メンタルヘルスの現状は,いまだ組織的に整備されているとは言い難い.そこで本稿では,英国のこれらのガイドラインの注目すべき基本的内容を紹介するとともに,英国と日本での異なる医療事情に配慮した上で,わが国の周産期メンタルヘルスの現状と将来的なあり方について若干の考察を加える.

索引用語:周産期メンタルヘルス, 英国NICEガイドライン, 心理療法, 向精神薬療法, リスク・ベネフィット>
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