精神科診療における個別最適化(precision)を概説する.診療の個別最適化は普遍的な課題だが,その呼び名は時代とともに変遷し,2010年以降はprecisionという語が頻用されるようになった.個別化医療はエビデンスに基づく医療や診療ガイドラインとそぐわない考え方などではなく,むしろ,最適な診療結果を得るためにこれらと協働すべきものである.個別最適化のために考慮に入れるべき因子は多いが,実装化という点で生物学的precisionは発展途上である.学び方の順序として,まずは診療ガイドラインなどを習得し,後にその限界にも目を向けて,precisionに熟達して行くのが正しいと考えられる.
精神科診療におけるprecisionについて
帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科
精神神経学雑誌
126:
599-605, 2024
https://doi.org/10.57369/pnj.24-096
https://doi.org/10.57369/pnj.24-096
<索引用語:個別化医療(precision medicine), エビデンスに基づく医療, 診療ガイドライン, 心理社会的フェノタイピング, バイオバンク>