今回のテーマ「一般診療に活かす各種精神療法―学派を超えた通院精神療法の在り方―」を素描するやり方には多様なバリエーションがありうるが,ある程度共通の事項もみられるはずだ.本稿では,市井の開業精神科医として保険診療の枠内で日々臨床に携わるなか,適宜認知行動療法(CBT)を活用しながら試行錯誤している筆者にとっての要諦を記してみる.本稿の流れは,(i)はじめに「精神科医にとって精神療法は余技か,それとも必須技能か」という問いへの筆者の見解を記してから,(ii)精神疾患・精神症状を理解する2つの基本的な視座,(iii)精神療法の基本,(iv)心理教育,(v)薬物療法が奏効しえない病態/薬物療法抵抗性の病態での精神療法,(vi)トラウマ,複雑性PTSDをふまえた精神療法,(vii)症例をとおしてみる精神療法のエッセンスの実践の順に述べていく.
学派を超えた精神療法のエッセンスについて考えてみよう
原田メンタルクリニック
精神神経学雑誌
126:
685-692, 2024
https://doi.org/10.57369/pnj.24-110
https://doi.org/10.57369/pnj.24-110
<索引用語:精神療法, 精神科医, エッセンス, 心理教育, トラウマ>