Advertisement第120回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第124巻第8号

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症例報告
面談を契機に氷解した特殊な死生観を有する解離性障害の1例―解離性障害ならびに自閉スペクトラム症への多職種連携による心理的介入の重要性について―
山本 健介, 藤本 健士郎, 辻 明里, 久保 洋一郎, 木下 真也, 金沢 徹文
大阪医科薬科大学病院精神神経科
精神神経学雑誌 124: 533-537, 2022
受理日:2022年4月11日

 解離性障害は,心的外傷や強い葛藤を背景として,記憶や意識の減損,人格の交代などさまざまな症状を呈する疾患である.見方を変えると,その症状は外傷的体験や日常持続的な心因から身を守る防衛機制であるともいえ,本質的な治療のためには解離を起こすに至ったその患者ならではの心因に応じた柔軟な対応が必要とされる.今回われわれは,自閉スペクトラム症を合併し,人格交代を伴う自傷行為や拒食など,多彩な症状を呈した思春期女子の解離性障害例を経験した.彼女の示す独特な死生観を前に診療には難渋したが,3ヵ月の入院期間のなかでかかわりの試行錯誤を重ね,症状を改善しえた.自閉スペクトラム症では時に奇異な解釈により心理療法の介入が困難な事例が存在する.その際にも多職種を通じた根気強い介入を行うことで光がみえる場合があり,今回も医学生らの同席により具体的な将来像を共有することができたことで解決の糸口をつかむこととなった.

索引用語:自閉スペクトラム症, 解離性障害>
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