Advertisement第117回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第123巻第9号

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特集 統合失調症とはどういうことか
統合失調症とは何か―精神病理学的視点から―
古茶 大樹
聖マリアンナ医科大学神経精神科学
精神神経学雑誌 123: 569-575, 2021

 「統合失調症とは何か」という問いに対して,われわれはいまだに物質的な水準で明確に答えることができない.統合失調症は明確な定義のできる単位として実在が保証されているものではなく,あくまで理念型としてわれわれの思考のなかにとどまり続けている.統合失調症の研究の歴史を俯瞰してみると,2つの方向性が浮かび上がってくる.1つは統合失調症の因果的関連の追究であり,もう1つは了解的関連による理解である.因果的関連の追究は,統合失調症を疾患単位として実在するものとみなしその身体的基盤を究明しようとする.疾患単位としての確立をめざしたKraepelinに始まり,診断学の洗練に尽力したSchneider,そしてDSM―III以降の実証主義的方法論がその流れを汲む.一方,了解的関連による理解は,統合失調症を身体的水準に還元しようとするのではなく,あくまで形而上の水準で統合失調症の本質を明らかにしようとした.Bleulerに始まり,人間学的精神病理学や米国の精神分析学派がその流れにあたる.精神医学は対象を把握する段階で理念型という社会科学的方法論を使いながら,身体医学的側面での追究には自然科学的方法論を駆使しようとする.「統合失調症とは何か」という問いを突き詰めると,現代精神医学の抱えるジレンマが浮き彫りになってくる.

索引用語:統合失調症, 精神病理学, 理念型, 了解的関連, 因果的関連>
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