副甲状腺腺腫による原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)の高齢2症例を提示し,それらの臨床症状と認知障害の所見,腺腫の外科的切除後の経過などから,PHPTの病態や臨床症状の特徴について考察した.その結果は以下のごとくであった.①PHPT自験2症例では,副甲状腺腺腫の外科的切除後の認知機能は,身体症状や精神・神経症状と同様に,大幅に改善した.②PHPTの認知障害の特徴は,アルツハイマー病に類似はしているが,特に注意力の低下が目立った.③生化学型PHPTにおける疼痛発生機序のさらなる解明が待たれる.
高齢者の原発性副甲状腺機能亢進症における身体症状と精神症状―認知障害の特徴および疼痛発生機序について―
総合上飯田第一病院老年精神科
精神神経学雑誌
123:
248-253, 2021
受理日:2020年12月17日
受理日:2020年12月17日
<索引用語:原発性副甲状腺機能亢進症, 認知機能, 疼痛発生機序, 身体症状症, 中枢神経性疼痛>