Advertisement第118回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第123巻第12号

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特集 「内因性うつ病」を多面的に把握する
DSMは日本のうつ病研究をどう変えたか―精神病理学の動きを中心に―
清水 光恵
伊丹健康福祉事務所/兵庫県精神保健福祉センター
精神神経学雑誌 123: 807-815, 2021

 革命とまで称されたDSM-IIIは,日本の精神医学と臨床にどのような変化をもたらしたのか.本稿では1981年から2000年代のうつ病論文を中心に文献を展望し,精神病理学への影響を中心に考察した.DSM-III前夜の日本のうつ病論文からうかがわれることは,おそらくは社会的経済的背景などから,病像や経過などのうつ病臨床は変化していたが,メランコリー親和型論などに依拠した従来のうつ病理論では変化に対応しきれなくなっており,新しい理論が待望されていた.当時,DSM-IIIは黒船来襲にたとえられたが,じつは黒船は潜在的には待望されており,それが日本の精神医学におけるDSMの受容につながったと考えられる.それまでごく少数の症例に対し心理学的,社会学的研究をしていた精神病理学は,多数の症例を集めて統計的に解析するなど科学らしい方法を採用していったが,時代の潮流に乗るのは困難だった.しかし臨床の学問としての精神病理学は今後も意義を保ち続けるはずである.

索引用語:DSM, うつ病, 精神病理学, 精神医学史, 日本>
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