Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第122巻第1号

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原著
インターネット調査による気分障害患者の女性配偶者における感情表出,負担,抑うつ,およびそれらに関連する要因のパス解析
酒井 佳永1), 秋山 剛2), 阿部 又一郎3), 立森 久照4)
1)跡見学園女子大学心理学部
2)NTT東日本関東病院精神神経科
3)伊敷病院
4)国立精神・神経医療研究センタートランスレーショナル・メディカルセンター
精神神経学雑誌 122: 11-24, 2020
受理日:2019年11月2日

 家族の感情表出(EE)は気分障害患者の経過に影響を与える.そのため気分障害患者の家族のEEを高める要因を検討することにより,患者の経過を改善する手がかりが得られる可能性がある.本研究は,258人の気分障害患者と同居する女性配偶者を対象にインターネット調査を行い,女性配偶者の負担と抑うつがEEに及ぼす影響,および女性配偶者と患者の年齢,就労状況,子どもの有無などの社会人口統計学的要因,患者の罹病期間,入院歴,軽躁傾向などの臨床的要因,そして女性配偶者へのソーシャルサポートといった環境的要因が,女性配偶者の負担と抑うつを介してEEに及ぼす影響について,相関分析とパス解析を用いて探索的に検討した.その結果,女性配偶者の負担と抑うつは女性配偶者のEEの高さに有意に寄与していた.また患者が無職であること・入院歴があること・軽躁傾向・女性配偶者へのソーシャルサポートに対する満足度の高さが女性配偶者の負担を介して,そして女性配偶者が無職であること・ソーシャルサポート源の数の少なさが女性配偶者の抑うつを介して,EEの高さに有意に寄与することが示唆された.また子どもがいることは,その他の要因と独立にEEの高さに有意に寄与していた.女性配偶者の負担および抑うつによるEEへの寄与,患者が無職であること,入院歴,軽躁傾向,女性配偶者のソーシャルサポートに対する満足度による負担への寄与,ソーシャルサポート源の数による抑うつへの寄与についての知見は,これまでの報告と一致する.一方,女性配偶者が無職であることによる抑うつへの寄与,子どもがいることによるEEの高さへの寄与についてはこれまで報告されていない知見である.家族のEE,負担,抑うつの関連,およびこれらに影響を与える要因については,まだ知見が確定していない面も多く,今後,臨床群などを対象とした調査による検討を要する.

索引用語:気分障害, 感情表出, 家族, 負担, パス解析>
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