Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第12号

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特集 学校保健におけるアンチスティグマ―メンタルヘルス・リテラシーの拡大をめざして―
西欧諸国における学校メンタルヘルス・リテラシー教育とアンチスティグマキャンペーン
吉村 優作
公益財団法人慈圭会慈圭病院
精神神経学雑誌 121: 949-956, 2019

 精神疾患の多くは児童青年期に好発し,全世界の児童・青年期にあたる若者の約20%は精神的な問題を抱えているとの報告がある.しかし,精神的な不調を抱えた若者の多くは支援を求めない傾向にあり,適切な介入・支援が提供されていない場合が多い.その背景には,生徒や教員のメンタルヘルス・リテラシー(MHL)の低さや精神疾患に対するスティグマが影響していると考えられている.また,児童期から思春期にかけスティグマは形成,固定するといわれているが,学校精神保健教育によるMHLの向上でそれは予防,緩和できる可能性が示されている.そのため,MHL教育の重要性が近年世界各国で提唱されている.WHOが提唱する学校精神保健のモデルでは,生徒の精神保健向上のために,生徒,教員,家族,さらには地域住民や精神保健機関の連携体制を構築していくことの重要性が強調されている.そのなかで,MHL教育,アンチスティグマ介入が学校にかかわりをもつすべての人々に行き届くことが重視されている.英国,カナダやオーストラリアなどの国では,初等・中等教育のカリキュラムのなかで精神保健教育が取り入れられており,生徒や教員のMHLの向上,問題を抱えた生徒の早期の援助希求行動の促進やスティグマの軽減などを目的として,初等教育においては,ストレスやいじめへの対処,援助希求に関する知識,中等教育では具体的な精神疾患についての知識,スティグマに関する話題などが授業で取り扱われている.それと並行して,それらの国では大規模なアンチスティグマキャンペーンが実施されており,学校や一般市民などを対象として,メディアやインターネットによる介入,生徒や教員向けの教育プログラム,当事者との交流イベントなど,スティグマ軽減に有効とされる教育(education)と当事者との交流(social contact)の手法で国家規模の介入が行われている.これらの取り組みは,日本で精神保健教育やアンチスティグマ介入を実施していくうえでの参考になるかもしれない.

索引用語:メンタルヘルス・リテラシー, 精神保健教育, 偏見, 学校, アンチスティグマ>
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