Advertisement第116回日本精神神経学会学術総会

論文抄録

第121巻第12号

※会員以外の方で全文の閲覧をご希望される場合は、「電子書籍」にてご購入いただけます。
特集 学校保健におけるアンチスティグマ―メンタルヘルス・リテラシーの拡大をめざして―
わが国の学校保健におけるアンチスティグマをどう考えるべきか―教科書検定に向けて―
小口 芳世
聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室
精神神経学雑誌 121: 941-948, 2019

 国内のみならず海外においても,精神疾患に対するアンチスティグマ活動が幅広く展開されている一方で,一部の精神疾患に対する負のイメージの定着やわが国における精神科受療率の低さの点などから鑑みるとスティグマ解消は十分とはいえない.その背景として学童生徒時代の教育の関与が指摘されている.学校教育におけるメンタルヘルス・リテラシーが強調されているなかで,教育課程において教科の主たる教材として,生徒が学習を進めるうえで必要不可欠な教科書への精神保健ならびに精神疾患の記載は,リテラシーの拡大に向けて重要と思われる.中根らが行った精神疾患に係る記載の研究によれば,1965年に入る直前までは,精神障害について理解しがたい怖い病であり,子孫や社会に多大な負担を与えるおそれがあるとの記載が散見された.その後しばらくは偏見なく対応すべき疾患であると見なされ始めたが,1980年代後半からは精神疾患の呼称がほとんど記載されず,その総体的な記述は消失したと述べられている.今般,学習指導要領の改訂がなされ,特に高等学校の領域においては,「精神疾患の予防と回復」に焦点があてられ,うつ病,統合失調症,不安症,摂食障害など具体的な精神疾患名を適宜取り上げ,誰もが罹患しうること,若年で発症する疾患が多いこと,適切な対処により回復し生活の質の向上が可能であることなどを理解できるようにすることが目標として位置づけられた.学校保健におけるアンチスティグマ対策として,メンタルヘルス・リテラシーに基づき,「精神保健」「精神疾患」の双方に関する適切な情報提供とケースビネットなどを含んだ事例考察を組み合わせるような教育法が有用と思われる.今後の教育方法のあり方などにおける活発な議論を期待したい.

索引用語:学校保健, アンチスティグマ, 精神疾患, メンタルヘルス・リテラシー, 教科書>
Advertisement

ページの先頭へ

Copyright © The Japanese Society of Psychiatry and Neurology